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暗号資産購入企業、投資家が離れ株価急落

2025年09月11日(木)09時14分

9月10日、 ビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)を蓄積したり保有したりする企業が株価急落に見舞われている。写真は仮想通貨のイメージ。2022年1月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Tommy Reggiori Wilkes Elizabeth Howcroft Hannah Lang

[ロンドン/パリ/ニューヨーク 10日 ロイター] - ビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)を蓄積したり保有したりする企業が株価急落に見舞われている。今年の大半の期間、投資家をつかんできた暗号資産ブームが後退しているのだ。

いわゆる「デジタル資産トレジャリー企業」は仮想通貨を購入してバランスシートに計上するために株式や社債を発行して資金を調達する。投資家はビットコインが今年、過去最高値を更新したことに支えられてこうした企業の株式を買い集めていた。

ロイターの6月の報道によると、デジタル資産を主な業務としていない上場企業の少なくとも61社がビットコインを保有する財務戦略を採用している。

ビットコイン購入企業として最も有名なマイケル・セイラー氏のストラテジーは株価が7月の457ドルから今週は328ドルまで下落した。4月以来の安値となり、今年の上昇幅が13%に縮小した。

日本のビットコイントレジャリー企業メタプラネットは株価が今週、5月以来の安値を付けた。株価は6月のピーク時点から60%以上下落したが、年初来で105%の上昇率を維持している。

英国に拠点を置くウェブサイト制作会社スマーター・ウェブ・カンパニーは4月にビットコイン購入戦略を発表した後に株価が急騰したものの、6月以降は70%以上下落した。

トランプ氏の暗号資産事業「ワールド・リバティ・フィナンシャル」のトークンを購入しているアルト5シグマは、株価が15億ドル規模のこうした事業の契約を発表する前の6月に付けた高値から61%以上下落した。

ビットコイン購入に突然の戦略転換を発表するだけで自社の株価と経営陣の保有株式価値を押し上げた中小企業もまた打撃を受けている。

金融情報サービスのカイコのアナリスト、アダム・マッカーシー氏は「この規模の反転は全く驚くことでない」とし「基本的にレバレッジをかけた投資で価格変動が激しい取引だから、もしもビットコインが3%下落すると株価はその数倍、時として4―5倍も下がる」と述べた。

株価が暴落すると、企業の時価総額がバランスシート上に保有する暗号資産の価値を下回り得るのだ。

金融決済サービスのイートロのグローバル市場アナリスト、ラレ・アコナー氏はデジタル資産トレジャリー企業もまたしばしば暗号資産購入の資金を調達するために資本市場に依存しており「投資家心理が冷え込めば資金調達が途絶える可能性がある」と述べた。

ロイター
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