運用に政治持ち込むべきでない、ブラックロックが共和・民主両党をけん制

米資産運用大手ブラックロックは27日、退職金や年金の資産運用に政治を持ち込む共和党と民主党の動きをけん制した。写真はニューヨーク証券取引所で2022年に撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Ross Kerber
[27日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックは27日、退職金や年金の資産運用に政治を持ち込む共和党と民主党の動きをけん制した。企業の気候変動対応といった問題で圧力をかける両党に、顧客に対する受託者責任を果たそうとしているだけだと主張した。
ブラックロックは、43州の財務官や監査官といった両党の当局者に文書で送るという異例の措置を取った。ロイターは文書の内容を確認した。
7月下旬、共和党議員26人がブラックロックが気候変動といった問題にあまりにも注意を払いすぎているかと問う書簡に署名した。一方、17人の民主党議員は今月、文書で気候変動は「管理されていないリスク」の1つと指摘、投資家はこの問題をもっと重視すべきだと主張した。
ブラックロックの州・地方政府問題責任者、S・ジェーン・モファト氏は両党の当局者に文書で、彼らの書簡は「公的年金基金の運用を両党が政治化するという懸念すべき傾向が続いている」と指摘した。
モファト氏は、同社の議決権行使に関する方針に言及した上で、多くの顧客は責務に専念する株主として同社を評価していると説明した。「同時に、ブラックロックはアクティビストの投資家ではない」と強調、年金基金に対する政治的な制約は運用コストの上昇やリターンの低下につながることが調査結果で示されていると付け加えた。
ブラックロックは12兆5000億ドルもの運用資産により、企業の取締役選任や環境・社会問題への対応などの株主決議で大きな影響力を持っている。
ブラックロックはかつて、環境・社会問題に関する株主決議で多くのアクティビスト(物言う投資家)の提案を支持していたが、昨年から今年にかけてはこうした提案への支持を大きく減らしている。
ブラックロックのこうした変化により、保守系政治家からの同社への批判は減少したが、批判が全て鳴り止んだわけではない。一方、多様な民主党当局者は同社にアクティビスト的な姿勢を強めるよう望んでいる。