最新記事
健康

「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新ウォーキング法「インターバル速歩」の驚きの効果とは

Viral Walking Style

2025年8月26日(火)15時08分
ショーン・パイマー(英ハル・ヨーク医科大学運動生理学者)
海辺で愛犬とエクササイズを楽しむ女性の様子

重要なのは、ウォーキングなどの身体活動を習慣化することだ OLIMPIK/SHUTTERSTOCK

<健康のためには「1日1万歩」が理想――そんな常識に挑む日本発の新しいウォーキング法が、いま世界で注目を集めている>

日本生まれのエクササイズが、海外のSNSで大きな話題になっている。

最小限の用具と時間で、大きな健康効果を得られるというインターバル速歩だ(海外では「Japanese Walking(ジャパニーズ・ウォーキング)」として知られている)。


信州大学の能勢博特任教授と増木静江教授らのチームが考案・研究しているインターバル速歩は、早歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す運動だ。

それぞれ3分間の1セットを1日5セット以上、週4日以上行う。

早歩きは「ややきつい」強度で、きちんと話をするのが困難な程度のスピードで歩く。ゆっくり歩きは「息を整える」強度で、活発に会話するのは難しくても、話は普通にできるペースだ。

インターバル速歩は、強い負荷の運動と短い休憩を繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT)と似ている。とはいえHIITほどつらくはなく、負荷がより少ない。

始めるのも簡単で、必要なのはタイマーと歩く場所だけ。

プログラム作りもほぼ不要で、「1日1万歩」を目指すなどほかのタイプのウォーキングと比べて時間もかからない。大半の人に適している運動だ。

その健康効果は大きい。能勢らが2007年に発表した研究では、インターバル速歩と、1日8000歩以上歩く中強度のウォーキングを比較。

インターバル速歩を行ったグループは体重が目立って減少し、中強度ウォーキングの場合より血圧も低下していた。脚力や身体的健康状態も大幅に改善している。

さらに、より長期的な研究によれば、加齢に伴う体力や健康の低下を防ぐ効果も確かめられている。

「1日1万歩」と比べて

こうした健康状態の改善効果は、今のところ研究で直接的に実証されていないものの、インターバル速歩が寿命を延ばすことに役立つ可能性を示唆している。

一方、考慮すべき点もいくつかある。前出の07年の研究では、インターバル速歩グループの対象者のうち約22%がプログラムを完了しなかった。

中強度ウォーキングでは、その割合はおよそ17%。つまり、インターバル速歩は全ての人に適した運動ではない可能性があり、歩数ベースのウォーキングより、手軽でも魅力的でもないのかもしれない。

1日に特定の歩数を達成するウォーキングにも、寿命延長に貢献する効果があることが分かっている。60歳以上の場合、目標歩数は1日約6000~8000歩。

60歳未満なら1日8000~1万歩が理想とされる。インターバル速歩の場合、こうしたエビデンスは(少なくとも現時点では)存在しないようだ。

国際的に注目される新たなウォーキングトレンドは、果たして究極のエクササイズなのか。それとも、どんな運動をするかではなく、運動の頻度と負荷がより重要なのか。正しいのは、おそらく後者だ。

研究で判明しているように、中~高程度に活発な定期的身体活動をより多く行う人は、1回の身体活動の時間の長さにかかわらずより長く生きる。

言い換えれば、重視すべきなのは、中~高程度に活発な身体活動を習慣にすること。それがインターバル速歩なら、やるだけの価値はある。

Reference

Nemoto K, Gen-no H, Masuki S, Okazaki K, Nose H. Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people. Mayo Clin Proc. 2007 Jul;82(7):803-11. doi: 10.4065/82.7.803. PMID: 17605959.

The Conversation

Sean Pymer, Academic Clinical Exercise Physiologist, University of Hull

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.



ニューズウィーク日本版 日本人が知らない AI金融の最前線
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月3号(2月25日発売)は「日本人が知らない AI金融の最前線」特集。フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに[PLUS]広がるAIエージェント

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国外相、イラン指導者殺害や体制転換の扇動「容認で

ワールド

OPECプラス8カ国、4月に増産開始で合意 イラン

ワールド

イラン首都照準に2日目攻撃、トランプ氏は反撃に警告

ワールド

プーチン氏、ハメネイ師殺害は道徳規範と国際法に違反
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 3
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 4
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKI…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 8
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 9
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 10
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 10
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中