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インタビュー:10年債利回り「2%超」で投資本格化=りそなHD市場担当幹部

2025年07月24日(木)11時19分

 りそなホールディングスで市場企画部門を統括する田原英樹執行役は、向こう1─2年の新発10年国債利回り(長期金利)が「1.7─2.2%」のレンジで推移するとの見通しを示した上で、「2%」が積極的な投資に踏み切る一つの目安になるとの考えを明らかにした。23日撮影(2025年 ロイター/Miho Uranaka)

Miho Uranaka Tomo Uetake Anton Bridge

[東京 24日 ロイター] - りそなホールディングスで市場企画部門を統括する田原英樹執行役は、向こう1─2年の新発10年国債利回り(長期金利)が「1.7─2.2%」のレンジで推移するとの見通しを示した上で、「2%」が積極的な投資に踏み切る一つの目安になるとの考えを明らかにした。

田原氏はロイターとのインタビューで、適切なバランスシート運営とALM(資産負債管理)に基づき、国債投資は5年債を中心に必要水準まで積み上げようとしていると説明したが、「本格的に資金を振り向ける段階ではない」と述べた。10年債については「現在の利回り1.6%程度だと興味はないが、2.2%に近いところでは十分入っていく可能性はある」とし、2%を目安に本格投資を検討する考えを示した。

その理由として、日銀の金融政策見通しを挙げる。「ターミナルレート(到達金利)は1─1.5%程度ではないかと思っている。10年債であればそこから50ベーシスポイント(bp)はほしい」との考えから、2%が一つの投資目線になると説明した。

日銀による今後の利上げについては、米国との通商交渉が23日(日本時間)に合意に達して関税を巡る不透明感が後退したことを受けて、政策金利0.75%への引き上げは「10月に十分ある」とみる。さらに「場合によっては来年3月とか、いずれにしても半年から1年の間には1%まで持っていく。そこから上げるか下げるかはまた判断していく」と予想した。

その後の金融政策運営については、産業界の動向や資金循環の流れを慎重に見極める必要があると指摘。特に地方経済の疲弊を踏まえれば、政策金利は1%の水準に一定期間とどまる可能性が高いという。

田原氏は、世界的に財政拡張の動きが再び強まっていると指摘。米国の大規模減税やドイツでの憲法改正まで踏み込んだ財政出動の動きがあることに言及し、「インフレはいったん収まっているように見えても、もう1回おのずと再加速する。インフレの世界がこれから起きる」との懸念を示した。 日本でも参院選での与党敗北を受けて財源が不透明なまま財政支出が膨らむ可能性が高まっており、格付け機関による日本国債の格下げも「十分あり得る」と述べ、今後注視すべきリスクだとの見方を示した。

りそなHDはコロナ禍明けの2022年に米長期金利が2%付近まで上昇した際、さらなる米金利上昇を見込んで米国債の損切り(ロスカット)を実施。外貨調達コストが運用利回りを上回る「逆ザヤ」への警戒感から他行に先んじて対応し、同年3月期決算で約550億円の売却損を計上した経緯がある。

現在も外国債券や外国株式の保有は流動性の観点から米国が中心であるものの、将来的な市場の不確実性を見越してポートフォリオの分散を進めるべく、欧州資産へのシフトにも着手したという。

田原氏は長年、債券ディーラーやポートフォリオマネージャーとして市場関連業務に携わり、現在はりそなHD傘下のりそな銀行の常務執行役員(資金証券部担当)も兼務している。

※インタビューは23日に実施しました。

ロイター
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