アングル:テザーが国際商品取引に照準、ステーブルコインの利用拡大目指す

7月16日、世界最大のステーブルコイン発行体、テザーは最近の農業生産企業アデコアグロ買収を活用し、年間数兆ドルに上る国際商品取引で重要な役割を担う戦略を描いている。写真はテザーのロゴとコインのイメージ。2023年3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Marcelo Teixeira
[ニューヨーク 16日 ロイター] - 世界最大のステーブルコイン発行体、テザーは最近の農業生産企業アデコアグロ買収を活用し、年間数兆ドルに上る国際商品取引で重要な役割を担う戦略を描いている。
同社のドル建てステーブルコイン「USDT」が決済時間を数日から数秒に短縮できることをうたい、原材料取引の中核にこのUSDTを組み込ませる狙いだ。
アルゼンチンで乳製品、ウルグアイでコメ、ブラジルで砂糖とエタノールなどを生産するアデコアグロは今年4月、株式の70%をテザーに約6億ドルで売却することに合意した。
こうした動きは、急速な成長を続ける暗号資産(仮想通貨)業界が現実の事業に進出し、実物資産への投資を拡大している構図でもある。
暗号資産の時価総額に連動する指数を開発したクリプテック・ファイナンスのジョー・スティッコ最高経営責任者(CEO)は「暗号資産業界はデジタル金融と実物資産の橋渡しに注力する傾向が強まってきている」と解説する。
スティッコ氏は、農場や食品加工工場といった確定収入を生み出す資産を傘下に置くことで、テザーはバランスシートを強化し、インフレに対するヘッジ手段を得られる可能性があるとの見方を示した。
テザーが2014年に発行を開始したUSDTには、大半が米国債で構成される準備資産の裏付けがあり、暗号資産需要の増大や価格上昇とともに取引規模が急拡大している。
従来の国際金融システムの枠外で決済を行う手段を提供する一方、ビットコインなど多くの仮想通貨と異なり、基軸通貨である米ドルに価値が連動する。
<国境間決済>
テザーがこれまでに発行したテザーは総額1430億ドル相当で、第1・四半期の報告書に基づくと準備資産は米国債1200億ドル相当を含む1490億ドルだった。
暗号資産を利用した決済取引技術を提供する中南米企業パルフィンのマルコス・ビリアトCEOは「テザーは自社のステーブルコイン利用範囲を国境間の決済に広げたがっている。私の考えではそうした決済取引は、特に商品市場において今後大きく成長するだろう」と述べた。
ビリアト氏は「ブラジルの企業がボリビアの取引先に商品を売る場合、従来の決済手段では3日余りかかってもおかしくないが、USDTなら数秒で終わる」と説明し、費用もずっと少なくなると付け加えた。
パルフィンはブラジル第3位の銀行バンコ・ブラデスコと提携し、ブラジルの輸出企業が海外顧客に製品を売却する際にステーブルコインで決済できる仕組みの試験運用を開始している。ブラデスコがパルフィンのインフラを利用し、USDTを自国通貨に転換して輸出企業の口座に振り込む流れだ。
テザーは「当社の投資方針はわれわれの配分ネットワークを広げ、ステーブルコインの現実世界における利用を高められる企業を優先している。アデコアグロはその典型だ」とアデコアグロ買収に関するロイターの問い合わせに回答した。
またテザーはアデコアグロ経営陣や他の業界専門家と協力し、商品取引においてどうすればステーブルコインが効率性と流動性を高められるか検討中だとしている。
昨年終盤にはテザーが、ある大手石油企業と商品取引業者がUSDTを利用して初めて決済するのを資金面でお膳立てしたと明らかにした。
<トークン化>
暗号資産交換所ビットゲットのグレーシー・チェンCEOは、農業セクターに乗り出しているテザーにとってもう1つの選択は商品の「トークン化」だと指摘した。
チェン氏は「テザーは既に金をトークン化しており、砂糖やトウモロコシのトークン化に目を向けてもおかしくない。それはヘッジ手段にも、あるいは収穫前の資金調達時の担保にも活用できる」と述べた。
同氏によると、テザーは農場や砂糖精製所、再生エネルギー工場などを管理可能な金融商品に変えつつあるという。
ただテザーは「農産物を含めて実物資産のトークン化における大きな潜在性」が視野に入っているとしつつも、すぐに砂糖ないしトウモロコシのトークンを発行する計画はないと明らかにした。
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