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6月ロイター企業調査:消費減税、6割が「すべき」も財源は「国債以外で」が多数

2025年06月19日(木)10時09分

 6月19日、6月のロイター企業調査で、消費税率の引き下げについて、約6割が条件付きも含めて「すべき」と回答した。写真は2021年8月、都内で撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)

Maki Shiraki

[東京 19日 ロイター] - 6月のロイター企業調査で、消費税率の引き下げについて、約6割が条件付きも含めて「すべき」と回答した。一方で、減税の財源としての国債発行は財政悪化を招くとして反対が多い。景気浮揚のための減税は望ましいものの財政負担を増やすべきではないというジレンマがうかがえ、実現の難しさが浮き彫りとなった。

調査は6月4日―13日。調査票発送企業は504社、回答社数は220社だった。

物価高対策として7月の参院選で争点の一つになるとみられる消費減税について聞いたところ、全体として「すべき」との意見が多かったものの、時限的な措置としてが39%、恒久的にすべきは19%だった。「すべきでない」は41%だった。

賛成意見では、減税は消費を促し足踏みしている景気を刺激すると見込む声が多く、「食費だけでも消費への波及効果は大きい」(運輸)、「時限的であると貯蓄に回り、経済成長に寄与しないので恒久とすべき」(精密機器)といった声があった。また「30年来の個人消費の停滞が日本経済衰退の原因。国債を財源とした減税と財政出動が必須」(輸送用機器)という意見も聞かれた。

一方で、反対意見の大半がその理由として財源の問題を挙げた。「(消費税の使途である)社会保障費の財源をどうするのか。財源確保が先であり、選挙目当てに国民を欺くべきではない」(運輸)、「財源なき減税政策は国の信用リスクを棄損(きそん)する」(小売)、「代替財源がない。国債発行など将来にツケを回すようなことはすべきではない」(電機)といった厳しい指摘があった。

また「減税が消費喚起につながるとは考えにくい」(卸売)との声や、所得税の控除拡大や上限税率の縮減、相続税廃止など「現実に即した観点から税制を議論すべき」(卸売)といった意見も聞かれた。

減税する場合の財源を国債発行で賄うかどうかについては、「容認する」が37%だったのに対し「他の財源を確保」するとの意見は63%だった。

国債発行以外の財源を確保すべきと回答した背景としては「税金の無駄遣いを洗い出し、そこから財源を捻出すべき」(電機、鉄鋼)、「無駄な補助金廃止、国会議員の半減など経費削減でできることは山のようにある」(サービス)、「国会議員の定数を減らしたり、給与を減らしたりすれば良い」(非鉄金属)などの声が出ていた。

参院選後の望ましい政権の姿としては、自民・公明の少数与党が32%で最多だったが、野党を含めた連立でも自民・公明・国民民主で20%、自民・公明・立憲と自民・公明・維新でそれぞれ15%だった。

「その他」も18%あり、「自民党の単独政権」(化学、ゴム、金属・機械)との意見が多かったほか、「枠組みよりも政策が重要。選挙目当てのものではなく、日本の将来を考えた政策を検討してほしい」(機械)といった切実な声もあった。

ロイター
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