トヨタ株主総会、日野・ふそう統合「民間主導で実現」今後も支援

トヨタ自動車は12日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開き、豊田章男会長ら取締役の選任議案を含む6議案全てが承認された。写真はトヨタのロゴ。(2025年 ロイター/Valentin Flauraud)
Maki Shiraki
[豊田市(愛知県) 12日 ロイター] - トヨタ自動車は12日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開いた。傘下の商用車メーカーである日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合について、豊田章男会長は、国内商用車メーカーの大再編が「民間主導でできた」とし、「協調すべきところは協調し、競争すべきところは競争する」と語った。
中嶋裕樹副社長も「お互いの顧客を第一に考え、地域に根ざした仕事をしていくという考え方が一致した」と経営統合を決めた背景を説明し、トヨタとして今後も「しっかりサポートしていきたい」と述べた。
佐藤恒治社長は、就任以来挑戦していることなどを問われ、認証不正問題について触れた。問題発覚以降、現場を回ることに時間を割いており、「現場のエネルギーが最大化できるようにしてあげることが社長の一番の仕事だ」と指摘。「社長が頑張るだけでは一馬力の力しか出ない。仲間の力を最大限発揮できるような基盤をつくる」と少し涙ぐみながら語った。
総会では、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への変更、豊田会長ら取締役の選任など計6議案全てが承認された。取締役は豊田会長のほか佐藤社長、中嶋副社長、宮崎洋一副社長が再任、独立社外取締役に岡本薫明元財務次官、藤沢久美国際社会経済研究所理事長が新たに選任された。
豊田会長の再任案を巡っては、認証不正の発覚で企業統治のあり方などが問われ、昨年は米議決権行使助言大手グラスルイスが反対を推奨していたが、今年は賛成に転じていた。
今回の総会では、トヨタの源流企業である豊田自動織機の非上場化やトランプ米大統領の関税政策の影響に関しての説明にも関心が集まっていたが、トヨタから具体的な言及はなく、株主からも質問が出なかった。
総会の印象について、出席した株主の堀内彰宏氏(自営業)は、トヨタの役員は「中身のある回答をしてくれていたと思う」と語り、「トヨタは日本随一の企業。今後も成長していくと思うので注視していきたい」と述べた。年金生活者の水野正通氏は「総じて良かった。オープンな回答だった」といい、佐藤社長の取り組みが興味深く「上に立つものは現場を回ることが大事だ」と話していた。
出席株主は6752人(昨年は4656人)で、初めて6000人を上回り、これまでで最も多かった。所要時間は1時間47分と昨年より4分短かった。株主からは13の質問と、2つの意見・要望が出た。