ニュース速報
ビジネス

アングル:仮想通貨ファンドの運用資産額、5月に過去最高に

2025年06月10日(火)17時41分

 6月9日、モーニングスターのデータによると、集計している294の暗号資産(仮想通貨)ファンドは5月の運用資産総額が1670億ドルとなり、過去最高だった。写真はビットコインのイメージ。2024年3月、パリで撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)

[9日 ロイター] - モーニングスターのデータによると、集計している294の暗号資産(仮想通貨)ファンドは5月の運用資産総額が1670億ドルとなり、過去最高だった。5月の純流入額は70億5000万ドルと昨年12月以来、5カ月ぶりの高水準となった。

トランプ米大統領の輸入関税引き上げを契機とした貿易摩擦が緩和したことでリスク選好度が高まり、一部の投資家が市場の急激な変動のリスク回避や、米国での保有資産からの分散のために仮想通貨へ資金を振り向けたのが要因。

フィンテック企業、エーテル・ホールディングスのニコラス・リン最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨ビットコインが「再び本領を発揮し始めている」と指摘。変動幅が大きい資産としてだけでなく、より多くの投資家がエクスポージャーをヘッジするために利用していると解説した。

ビットコインは最近の3カ月間に15%超も上昇し、伸び率はモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の世界株指数の3.6%、金の13.3%を上回った。

デジタル資産運用会社コインシェアーズのデータによると、5月にビットコインのファンドは55億ドル、仮想通貨イーサリアムのファンドは8億9000万ドルのそれぞれ純流入があった。

コイン・ビューローの共同創設者でアナリストのニック・パックリン氏は、ビットコインが上昇した主因の一つは米国での投資への信頼の喪失だと指摘。「ドルが急落を続ける見通しで、国債利回りが上昇し、株式市場には不確実性がある。これに対し、ビットコインは堅調に推移しているようだ」と語った。

米国でビットコインのスポット価格に連動する上場投資信託(ETF)と、イーサリアム現物のETFが承認されたことを追い風に、ビットコインは昨年から機関投資家の資金流入が下支えしている。

一方、リッパーのデータによると、5月に世界の株式ファンドから59億ドルの純流出があり、金ファンドからは6億7800万ドルが流出して1年3カ月ぶりの純流出となった。

エーテルのリン氏は「(資金の)流れは堅調に推移すると思うが、ETFの開始後に見られたようなラッシュよりは安定していると思う」とした上で、「最初の(資金流入の)波はちょっとした解放弁だった。今起きていることはより重要で、仮想通貨が分散ポートフォリオに恒久的に定着し始めたということだ」との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、議会のカリフォルニア州自動車規制無効決

ビジネス

日中欧など、米政権に航空機・部品追加関税見送りを要

ワールド

ロシアがハルキウを無人機攻撃、2人死亡 子ども含む

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米中協議進展など好感 一時3
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 3
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるのか?...「断続的ファスティング」が進化させる「脳」と「意志」
  • 4
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「白鵬は、もう相撲に関わらないほうがいい」...モン…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    まさか警官が「記者を狙った?」...LAデモ取材の豪リ…
  • 10
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 9
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 10
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中