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戦後の「天城山心中」の時代にも繋がる、今は価値観が激変する「危機の時代」

2025年6月11日(水)11時15分
舞田敏彦(教育社会学者)
苦悩する若者

子供の自殺の増加も問題だが、20代前半の自殺率もこの30年で倍になっている photoAC

<戦前と戦後の価値観が混在した混乱期のように、現在も情報化、グローバル化、AIの台頭などで生き方の変革が起きている>

自殺対策基本法の改正が今月可決され、学校は「自殺の防止等の観点から、心の健康の保持のための健康診断、保健指導等の措置のほか、精神保健に関する知識の向上その他の当該学校に在籍する児童、生徒等の心の健康の保持に係る教育又は啓発を行うよう努める」こととなった(第17条第3項)。

子どもの自殺増加を受けてのことだが、年齢層が一つ上の青年の自殺も増えている。20~24歳の自殺者数(10万人あたり)は、1990年では10.6人だったが2023年では20.8人。この30年余りで倍増していて、欧米諸国をごぼう抜きしてしまった(「若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感」2024年11月20日、本サイト)。彼らを取り巻く経済状況悪化の影響もあるだろう。


しかしもっと長期のスパンでみると、青年層の自殺率は過去最多ということではない。現在よりもっと高い時代があった。20~24歳の自殺率のカーブを、戦後初期から現在に至るまで描いてみると<図1>のようになる。

newsweekjp20250611015035.png

国民全体の自殺率には目立った山はないが、20代前半では1955~60年の時期で極めて高くなっている。現在の3倍以上だ。高度経済成長への離陸期で、未来への明るい展望も持てていた頃だと思うが、当時の青年層の苦悩はどこから来ていたのか。

1957(昭和32)年12月11日の朝日新聞に、「天城山心中・死を急ぐ若者たち」という記事が出ている。伊豆の天城山で起きた大学生男女の心中事件を報じたものだ。小見出しには、「古い考えとの断層」「モラル過渡期の悲劇」といった言葉が記されている。

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