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NY外為市場=ドル全面安、関税懸念で「米国売り」再燃

2025年06月03日(火)05時42分

ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し全面的に下落した。2016年1月撮影(2025年 ロイター/Jason Lee)

[ニューヨーク 2日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し全面的に下落した。トランプ米大統領が前週、米国が輸入する鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を2倍の50%に引き上げると表明したこと受け、米国の関税政策の見通しと関税措置がインフレにつながる影響を見極めようとする動きが出ている。

トランプ大統領は5月30日、ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の製鉄所で行った演説で「鉄鋼に対する追加関税を25%から50%に引き上げる。これにより米国の鉄鋼産業の安全がさらに強化される」と表明。6月4日から実施するとした。

中国商務省はこの日、スイス・ジュネーブで行われた米中協議での合意に中国が違反したとするトランプ大統領の主張には「根拠がない」として、自国の正当な権利と利益を守るために断固とした措置を取ると表明。米中の関税措置を巡る緊張が再び高まっている。

ロンドンのオンラインブローカー、ペッパーストーンのマーケットアナリスト、マイケル・ブラウン氏は「関税懸念の再燃で『米国売り』も再燃する」と指摘。ドルに対する広範な売り圧力が出ていると述べた。

終盤の取引でドル/円は0.8%安の142.85円。ユーロ/ドルは0.8%高の1.14355ドルと、4月下旬以来の高値を付けた。

主要通貨に対するドル指数は0.6%安の98.75。4月下旬に付けた3年ぶり安値(97.923)に迫っている。

この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が6カ月ぶりの低水準となる48.5に低下。これを受け、ドルは下げ幅を拡大した。

モルガン・スタンレーのストラテジストは1日付の投資メモで「米国とその他の国の金利と成長率の差が縮小することで、ドル相場は(向こう1年にわたり)引き続き弱含んでいく」との予想を示していた。

他の通貨では、ポーランドの通貨ズロチが対ユーロで2週間ぶり安値を更新。ポーランドで1日実施された大統領選挙の決選投票は、愛国主義的な右派野党「法と正義(PiS)」が推す欧州懐疑派のカロル・ナブロツキ氏が勝利した。欧州連合(EU)に懐疑的な見方が広がる可能性があるとの見方が出ている。

 暗号資産(仮想通貨)ビットコインは0.7%安の10万4315ドル。

ドル/円 NY午後3時 142.81/142.82

始値 142.80

高値 143.07

安値 142.55

ユーロ/ドル NY午後3時 1.1441/1.1442

始値 1.1415

高値 1.1449

安値 1.1405

ロイター
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