韓国大統領選、若い女性票は李氏に 男女分断が投票行動に

韓国の大統領選では、若年の女性票が、革新系政党「共に民主党」の李在明氏を勝利に導いた。選挙戦中の5月28日、ソウルで撮影(2025年 ロイター/Kim Hong-Ji/File Photo)
[ソウル 4日 ロイター] - 韓国の大統領選では、若年の女性票が、革新系政党「共に民主党」の李在明氏を勝利に導いた。若年の男性は保守系候補に投票し、性別による投票行動の差が鮮明となった。背景には男女格差の問題がある。
韓国放送局3社の合同出口調査によると、20代の女性の約58%、30代の57%が李氏に投票した。これに対し、20代、30代の男性の過半数は保守系「国民の力」の金文洙氏と「改革新党」の李俊錫氏に投票した。
韓国では男女格差が依然深刻だ。賃金格差は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最大で、女性の収入は男性の約3分の2にとどまる。
格差を是正すべきとの議論はあるが、兵役義務が女性にはないことなどに不満を持つ若い男性から逆差別との意見が出ると一部の専門家は指摘する。
尹錫悦前大統領は2022年の前回の大統領選挙で、女性の活躍、ジェンダー平等の推進を担う「女性家族省」の廃止を公約とし、男性票を取り込んだ。
若い女性は、尹氏の非常戒厳発動を非難。尹氏の罷免を訴える抗議活動でも若年層は女性の方が多かった。
韓国女性団体連合は、女性主導の「革命」は尹政権下で覆されたジェンダー平等が進展する出発点だと表明。
「これは単なる政権交代ではなく、尹政権が破壊した男女平等の民主主義を回復するための国民の激しい闘いによる歴史的成果である」と述べた。
李氏は大統領就任演説で、女性家族省の役割を拡大すると表明。
「若者は男女間で争うほど極端な競争に追い込まれた」と述べ、男女間にくさびを打ち込んだのは機会の欠如と厳しい競争のせいだと非難した。
ただ李氏はジェンダー平等を強く支持しているわけではない。共に民主党が初めて選挙公約を発表した際も、ジェンダー問題対策の欠如が批判を浴びた。
今回の大統領選挙では、主要な政策課題に男女格差は含まれなかった。また18年ぶりに女性の立候補者がいなかった。