最新記事
アメリカ政治

米国の宇宙計画が暗礁に...トランプとマスクの「衝突」で、スペースXとの220億ドル契約に不透明感

2025年6月6日(金)11時20分
スペースXと米政府の契約が不透明に

実業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXが米政府と交わした計約220億ドルの契約に先行き不透明感が浮上している。写真は1月23日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

実業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXが米政府と交わした計約220億ドルの契約に先行き不透明感が浮上している。大型減税法案に反対するマスク氏がトランプ大統領とたもとを分かったためだ。

両者の確執は激化しており、この影響で小型衛星を一体運用する国家安全保障のスパイ衛星コンステレーションなど各種宇宙計画が軌道修正を迫られかねない情勢となっている。


減税法案を巡って両者の関係は従来、意見の違いに止まっていたが、大統領が5日、報道陣が居並ぶ大統領執務室でマスク氏を激しく非難。両者の関係は一気に衝突と混乱に変わり、大統領は自身の交流サイト(SNS)でマスク氏経営の企業との政府契約打ち切りを露骨にちらつかせた。

これに対しマスク氏も自身のX(旧ツイッター)に投稿し「直ちにスペースXの宇宙船クルードラゴンの運用停止に向けて行動する」と反発した。

政府契約のうち、航空宇宙局(NASA)はスペースXと50億ドル規模の契約に基づき、2020年からクルードラゴンを利用している。

国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送り込むことができる米国の宇宙船はクルードラゴンしかないのが実情で、米国が宇宙でも大国の地位にとどまるにはスペースXとの同契約は不可欠。このため大統領がマスク氏への政治的報復を優先することを疑問視する声も上がっている。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

石破首相、自動車メーカーと意見交換 感謝の一方で更

ビジネス

みずほFG、純利益予想1兆円超に上方修正 三井住友

ワールド

ミャンマー、総選挙実施へ委員会設置 軍トップが主導

ビジネス

日米関税合意「大きな前進」、見通し実現していけば利
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 3
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中