インフレが目標から乖離し始めれば強力な対応必要=NY連銀総裁

5月28日、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁(写真)は、インフレが目標から乖離し始めた際に中央銀行は「比較的強力に対応」しなければならないと述べた。写真は2024年5月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
Leika Kihara
[東京 28日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は28日、インフレが目標から乖離し始めた際に中央銀行は「比較的強力に対応」しなければならないと述べた。
米国の関税や通商政策が経済に与える影響の不確実性が高いことを考えると、中銀は問題に対する完璧な解決策を目指すのではなく、「間違った場合のコストが利益をはるかに上回る」ような措置を避けることに集中すべきだとした。
東京で開催された日銀の氷見野良三副総裁との対談で、中銀が避けなければならないコストのかかるリスクの一つはインフレ期待が目標から乖離することだと指摘。「インフレが極めて持続的になることは避けたい。なぜなら恒久化する可能性があるためだ」と語り、そのためにはインフレ率が中銀目標から乖離し始めたら「比較的強力に対応することだ」と付け加えた。
「われわれはインフレ期待が有害になるような形で変化する可能性があることを強く認識しなければならない」とも話した。
ウィリアムズ氏は、こうした不確実性を踏まえ、中銀は長期的なインフレ期待を安定させるだけでなく、短期的な期待も「秩序立って」いることを確認し、国民の将来の物価動向に対する認識が「数年以内に」中銀目標に向けて戻るよう努力しなければならないと述べた。
また、トランプ米大統領の相互関税発表後、国際金融市場は4月に「甚大な衝撃」とボラティリティーに見舞われたが、「崩壊」には至らなかったと指摘。
「4月に確かに見られたことの1つは、買い手と売り手の間で多くのフローがあったこと」であり、これは市場が機能していた証拠だと述べた。
また、ニューヨーク連銀が監視する多くの指標に基づけば、米国の準備金の水準は「明らかに潤沢」であり、予期せぬショックへの緩衝材として機能すると指摘。
「大きなショックや予期せぬ事態が起きたとき、市場への影響を吸収するバッファーがあるのは本当にありがたいことだ」と語った。