SBI、NTTと提携で1100億円調達 「国民からの借金返す」と北尾社長

5月29日、SBIホールディングスは、NTTを引受先とした第三者割当増資で約1100億円を調達するとともに、NTTドコモに住信SBIネット銀行 の持ち分34.19%を1863億円で売却すると発表した。写真はNTTのロゴ。都内で2020年9月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
[東京 29日 ロイター] - SBIホールディングス<8473.T>は29日、NTT<9432.T>を引受先とした第三者割当増資で約1100億円を調達するとともに、住信SBIネット銀行<7163.T>の持ち分をNTTドコモに売却すると発表した。出資と株式売却で得た資金は、傘下のSBI新生銀行が抱える公的資金の返済などに充てる。北尾吉孝会長兼社長は会見で「国民からの借金を返す」と述べ、完済を目指す方針を示した。
北尾社長は、調達した資金の一部はメディア分野における買収案件などにも活用する考えも明らかにした。
SBI新生銀行は約3300億円の公的資金のうち今年3月に約1000億円を返済済みで、残る約2300億円についても、資産売却などを通じて早期の完済を図る方針を示していた[nL3N3PQ082]。
今回の資本業務提携では、SBIHDとNTTは資産運用や保険分野などで新たなサービスの開発に向け連携する。SBIHDは8.91%分の株式を新規発行してNTTに割り当て、調達資金を金融サービス事業の強化に充当する。
NTTに売却する住信SBIネット銀行の持ち分は34.19%で、売却額は1863億円。これに伴い、SBIHDは2026年3月期の連結決算に1424億円の利益を計上する。
NTTドコモはSBIHDの持ち分を含め、住信SBIネット銀行株を1株4900円で公開買い付け(TOB)して子会社にする。5月30日から7月10日まで買い付け、総額は2336億円。持ち株比率は65.81%となり、残りは三井住友信託銀行が持ち続ける。議決権比率は半々となる。
共に会見したNTTの島田明社長は、住信SBIネット銀行について「帯にもなりたすきにもなるベストなソリューション。そういう意味では、最高のパートナーリング」と述べ、提携に強い期待を示した。併せてSBIHD、SBI証券、ドコモ、住信SBIネット銀行の4社は、業務提携契約も締結した。
SBIHDは三井住友銀行(SMBC)とデジタル金融サービス「Olive」で業務提携しており、三井住友フィナンシャルグループ <8316.T>はSBIHDに約9%出資している。NTTによる出資後、NTTとSMFGが並んで筆頭株主となる。北尾氏は、この提携に対する銀行側の反応について「ネガティブではなく、むしろポジティブだと期待感を寄せられている部分もある」と述べた。
(浦中美穂 編集:田中志保)