ニュース速報
ビジネス

米信用スプレッド、24年9月以来の高水準 景気後退懸念高まる

2025年03月13日(木)10時32分

米国市場では11日の取引終盤、投資適格社債と国債の利回り差(信用スプレッド)が昨年9月以来の高水準に拡大した。(2025年 ロイター/Yuriko Nakao)

Matt Tracy

[12日 ロイター] - 米国市場では11日の取引終盤、投資適格社債と国債の利回り差(信用スプレッド)が昨年9月以来の高水準に拡大した。景気後退(リセッション)と世界貿易戦争を巡る投資家の懸念の高まりを示唆した。

ICE BofAコーポレート・インデックスによると、信用スプレッドは11日時点で94ベーシスポイント(bp)と、昨年9月18日以来の水準まで拡大。ジャンク社債全体の米国債に対するスプレッドも広がり、ICE BofAハイイールド・インデックスによると、322bpと同じく昨年9月18日以来の高水準となった。

トランプ米政権による一連の関税発動により世界的な貿易戦争の可能性が高まる中、スプレッド拡大は景気見通しに対する懸念の広がりを示す新たな兆候だ。

RBCグローバル・アセット・マネジメントのブルーベイ米債券部門責任者アンジェイ・スキバ氏は「このような環境ではインフレが進み、米連邦準備理事会(FRB)は利下げできないだろう。債券資産に圧力をかける可能性があり、スプレッドはさらに拡大しリスクが高まるとみている」と語った。

また、ソシエテ・ジェネラルのアナリストは12日付のリサーチノートで、「関税合戦の激化とハイテクセクターの再評価により、しばらく見られなかった形で株式から信用市場に影響が波及しており、経済が軌道から外れる可能性への懸念が高まっている」と指摘した。

JPモルガンは、ジャンク債のスプレッドが2月18日に付けた直近の低水準から59bp拡大したと指摘。貿易政策やインフレ、景気後退を巡る「マクロ経済の大きな不確実性」により、今後数カ月は「拡大傾向」にあるとの見方を示した。

ただ、社債スプレッドは歴史的に見ると依然としてタイトな水準だとアナリストは指摘する。

資産運用会社ブレッキンリッジ・キャピタル・アドバイザーズの調査担当共同責任者、ニコラス・エルフナー氏は、トランプ氏の経済・財政政策による影響が明らかになるにつれ、米社債スプレッドはさらに拡大すると予想。海外勢を含む投資家にとって社債利回りの魅力が増すと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相、30日から韓国訪問 APEC首脳会議に出

ワールド

日米首脳が会談、高市首相「同盟の新たな黄金時代作り

ワールド

LNG生産能力が記録的拡大へ、価格抑制し需要喚起=

ワールド

全米で5600便超が遅延、管制官の欠勤急増 政府閉
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中