ニュース速報
ビジネス

EU一律の新興企業ルール導入を、米への流出阻止=欧州委員長

2025年01月22日(水)13時21分

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長(写真)は21日、革新的な新興企業がEU全域で事業を展開しやすくするため、EU27カ国に一律適用されるルールを設けたいとの意向を示した。写真はスイスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説するフォンデアライエン氏(2025年 ロイター/Yves Herman)

Jan Strupczewski

[ブリュッセル 21日 ロイター] - 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は21日、革新的な新興企業がEU全域で事業を展開しやすくするため、EU27カ国に一律適用されるルールを設けたいとの意向を示した。若い企業が単一市場の恩恵を享受しやすくして、米国に流出するのを防ぐ狙い。

委員長はスイスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説し、「今日、欧州単一市場にはまだ国ごとの障壁があまりに多い。27カ国の法律に対応せざるを得ない企業もある」と指摘。「企業法、破産法、労働法、税制について、EU全域にわたる単一かつ簡素な枠組み」を設けたいとし、「われわれはこれを28番目の体制と呼んでいる」と語った。

28番目の体制とは、金融、法律、税制についてEU加盟27カ国全ての合意・調整を迂回できる合法的な枠組みを指す。

米国は欧州よりも資金調達が容易な上、1つの州で開発した製品を追加的な書類作業なしに米国全体で販売できるため、欧州新興企業はしばしば米国に引きつけられる。

「28番目の体制」は2010年以来、さまざまな分野について検討されてきた。しかし導入にはEU各国政府と欧州議会の同意が必要なため2年かそれ以上を要することもあり、成功の保証もない。

EU高官は「EU各国政府は、こうした28番目の体制案を何度も阻止してきた。だが現在は急を要するので、オムニバスの28番目の体制を提案できる」と述べた。

欧州委員会は、28番目の体制が始動すれば、消費者4億5000万人のEU単一市場全体にアクセスしやすくなる革新的な中小企業が18万2000社前後に上ると推計している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中