ニュース速報
ビジネス

米ピムコ、米長期国債の配分を減らして投資を多様化

2024年12月10日(火)09時55分

 12月9日、米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO、写真)は、米国以外の国債を購入することで、国債エクスポージャーを多様化する計画を発表した。2015年8月、カリフォルニア州ニューポートビーチで撮影(2024年 ロイター/Mike Blake)

Davide Barbuscia

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)は9日、米国以外の国債を購入することで、国債エクスポージャーを多様化する計画を発表した。財政状況の悪化により、米長期国債の見通しが弱気になっていることが背景にある。

ピムコは債券に特化した資産運用会社で、運用資産額は2兆ドル規模。米国債では短期債および中期債を選好する一方、インフレ上昇の可能性や財政赤字を埋めるための追加的な国債発行が見込まれるのを受けて、長期債への配分を減らしていると説明。また、財政状況が良好なのを踏まえて英国とオーストラリアの国債にも投資していると明らかにした。

非伝統的戦略担当の最高情報責任者(CIO)マーク・サイドナー氏とポートフォリオマネジャーのプラモール・ダワン氏は顧客向けのメモで「米国債の持続可能性への疑問や、関税や労働力への移民規制の影響などのインフレの契機について考慮し、長期国債の購入をためらうようになった」と言及している。

11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利した際、減税の推進が政府の財政赤字を悪化させると予想した投資家が米国債を売り浴びせたため、国債利回りは上昇した。保護主義的な貿易政策によるインフレの再燃も米国債の利回りを押し上げるとみられていた。

しかし、トランプ氏が著名投資家のスコット・ベッセント氏を財務長官に指名したことで過剰な支出や輸入品への高関税に対する市場の懸念が和らぎ、利回りは低下した。

それでもピムコはこの状況が予期しなかった形で変わる可能性があるとして「過剰財政という話は、(国債を売却することで放漫財政を戒める投資家の)債券自警団がいつ浮上するかという疑問を定期的に生む」と警告した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB追加利下げは慎重に、金利「中立水準」に近づく

ビジネス

モルガンS、米株に強気予想 26年末のS&P500

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機「ラファール」100機取得へ 

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 120億ドル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 9
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 10
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中