ニュース速報
ビジネス

アングル:ビットコインに見劣りするイーサ、現物ETF審査が今後を左右

2024年04月03日(水)10時20分

4月2日、時価総額が世界2位の仮想通貨(暗号資産)イーサが同1位のビットコインに上昇率で見劣りしている。写真は量暗号通貨のイメージ。2022年5月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

Lisa Pauline Mattackal Medha Singh

[2日 ロイター] - 時価総額が世界2位の仮想通貨(暗号資産)イーサが同1位のビットコインに上昇率で見劣りしている。今年第1・四半期の上昇率はイーサが53%、対するビットコインは65%だった。

ビットコインは先月、最高値を更新したが、イーサは1日時点で3612ドル前後と、2021年11月に記録した最高値4867.60ドルを26%以上下回っている。

ビットコインは供給量を制限する「半減期」を前に取引が盛り上がっているが、イーサはブロックチェーン「イーサリアム」で手数料削減に向けた大型アップグレード「デンクン」が3月13日に行われたものの、仮想通貨マニアを除けば、事前の関心は高まらず、アップグレード終了後は「うわさで買って事実で売る」の典型例で12%値下がりした。

今後の値動きは、米証券取引委員会(SEC)がイーサの現物ETF(上場投信信託)を承認するかに大きく左右される。ビットコインも現物ETFが承認されたことをきっかけに機関投資家の買いが入り、最高値を更新したためだ。

SECはまず、資産運用会社ヴァンエックが申請したイーサ現物ETFの承認の是非を5月23日に決定する。

スタンダード・チャータード銀行は同ETFが5月23日に承認され、イーサの価格が24年末までに8000ドル、25年末までに1万4000ドルに達すると予想している。

<コモディティーか有価証券か>

ただ、イーサ現物ETFの承認を誰もが楽観しているわけではない。弁護士や業界関係者はイーサの法的地位が曖昧で、規制当局の対応が慎重になると予想している。

SECはビットコインをコモディティー(商品)と表現しているが、イーサが有価証券なのかコモディティーなのかは明言していない。

イーサはビットコインとは異なり、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」型ブロックチェーンで取引されており、保有者はイーサを一定期間預けること(ステーキング)で利回りを得られる。

イーサはステーキングが多いため、有価証券とみなされ情報開示規制が厳格化される可能性がある。そうなれば、銀行など伝統的な決済業者を迂回できるという仮想通貨本来の気風が損なわれかねない。

ステーキング報酬を組み込めばETFが複雑になるため、SECの承認を得られる可能性は「現時点で極めて低い」(デジタル資産分析会社K33のリサーチ責任者アンダース・ヘルセット氏)との見方もある。

イーサに対する機関投資家の需要はビットコインに比べるとごくわずか。コインシェアーズのデータによると、イーサに連動するデジタル資産ファンドは3月23日までの1カ月間で4640万ドルの資金流出だったが、ビットコインに連動する商品には40億ドル以上の資金が流入した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

欧州の洋上風力大手2社、欧州各国に政策の改善要請

ビジネス

米ロビンフッド、第3四半期利益は予想超え 個人投資

ビジネス

米スターバックス労組、バリスタの無期限ストを承認

ビジネス

アルゼンチン向け民間融資、必要ない可能性=JPモル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    若いホホジロザメを捕食する「シャークハンター」シ…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中