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3月の独CPIは1.5%に急減速、ECBへの緩和解除圧力和らぐ
3月30日、ドイツの3月CPIは前年同月比1.5%上昇と、前月から伸びが大幅に縮小した。写真は2016年6月、ベルリンで撮影されたドイツ国旗とEU旗。(2017年 ロイター/Fabrizio Bensch)
[ベルリン/マドリード 30日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比1.5%上昇と、4年半ぶりの高水準を記録していた2月の2.2%から伸びが大幅に縮小した。原油価格の下落が背景にある。
CPIの上昇率が縮小するのはおよそ1年ぶりで、市場予想の1.9%も下回った。欧州中央銀行(ECB)に金融緩和の解除を求める圧力が弱まりそうだ。
ユーロ圏の2月のインフレ率は2.0%と、ECBが目標とする2%弱の水準を上抜け、4年ぶりの高水準をつけていた。だがECBは、政策変更の検討には、年初からの上昇基調が中期的に持続するかを見極める必要があるとの立場を示している。
ING銀行のエコノミスト、カールステン・ブレゼスキ氏は独CPIの鈍化は、ECBが「利上げの幻想」を沈静化するのに寄与するだろうと指摘。原油価格の下落や限定的な国内物価圧力により、総合インフレ率は今年下期に緩やかに減速するとの見方を示した。
ECBの金融政策スタンス変更の思惑はマクロ経済見通しの改善や総合インフレ率の上昇が要因とした上で、「ECBが早期に政策を変更する公算は小さく、フランス大統領選が実施される4月、5月以前の変更はまずないだろう」と指摘。ただ、仏大統領選後に2018年のテーパリング(資産買い入れの段階的縮小)を示唆する可能性はあるとした。
独CPIの発表を受けて、独10年債利回りは3週間ぶりの水準となる0.32%に低下した。
内訳では、2月からは伸びが縮小したものの、エネルギー、食品価格が引き続き押し上げ要因となった。
一部のエコノミストはCPIの鈍化について、今年は4月にある復活祭の休日が昨年は3月だったことが一因と指摘している。
同日公表されたスペインの3月CPIも前月の3.0%から2.1%に急減速し、市場予想の2.7%も下回った。
31日にはユーロ圏全体のCPI統計が発表される。ロイター調査では、2月の2.0%から1.8%に伸びが縮小すると見込まれている。