コラム

「会議は踊る、されど進まず」......アラスカの茶番劇でアメリカが失ったもの

2025年08月26日(火)17時25分

プーチンに、深層心理レベルで共感や憧れ

プーチンは、ロシアの外交的孤立に終止符を打ち、自国の望みどおりの条件で和平を実現すること、そして、ルールに基づく国際システムを突き崩して、いくつかの大国がそれぞれの影響力圏を確保する国際システム(ロシアは東ヨーロッパで絶大な影響力を握る)を確立することを目指していた。いまプーチンがこうした目標を達成できる可能性があるのは、何十年にもわたりロシアの利害を代弁し続けてきて、皇帝さながらに独裁的な権力を振るうプーチンに、トランプが深層心理レベルで共感や憧れを持っているからにほかならない。

アメリカは、ロシアとウクライナの戦争を終わらせることを目指していた。トランプ政権の下では、それはロシアの主張に同調し、ウクライナへの支援を削減もしくは打ち切り、NATOへの関与を弱めることを意味する。


ウクライナにとっては、独立を守ること、戦闘を継続する能力を確保すること、アメリカとの同盟関係を維持すること、そして、領土を失ったり、主権が弱まったりするような和平合意を避けることが課題だった。

ヨーロッパ諸国の狙いは、今後もアメリカをNATOに関与させ続けることと、アメリカがロシアに有利な和平を推し進めるのを阻止することだった。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送仏政権崩壊の可能性、再び総選挙との声 IMF介

ビジネス

エヌビディア株、決算発表後に6%変動の見込み=オプ

ビジネス

ドイツとカナダ、重要鉱物で協力強化

ワールド

ドイツ、パレスチナ国家承認構想に参加せず=メルツ首
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 10
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 9
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 10
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story