コラム

アメリカの地方の低学歴の白人が、「銃=自由」を本気で正しいと信じる理由

2022年07月12日(火)19時11分

NRAが解散しても銃の犠牲者は増え続ける

しかし、最近の2つの変化が、銃と「自由」を一体化させようとする試みを後退させるかもしれない。1つは、ニューヨーク州司法当局が資金流用を理由にNRAの解散を求めている訴訟だ。NRAが解散に追い込まれれば、銃は「自由」の象徴だと多くの人に信じさせている世論の誘導や、銃の「権利」を支持する候補者への政治献金に資金を出せなくなる。

もう1つは、共和党主導のジェリマンダリング(特定の政党に有利な選挙区の区割り)を見直そうという動きだ。ただし、連邦最高裁判所は、州が選挙区を決める権利を認める判断を示している(その多くは共和党が支配する州でもある)。

日々、多くのアメリカ人が銃を買い、多くのアメリカ人が銃で死んでいる。自己破壊的な狂気の果てしない連鎖だ。NRAが解散しても、選挙制度が保守的な地方部の白人に有利でなくなっても、銃はこれからも多くのアメリカ人を殺し続けるだろう。

新しい銃乱射事件が報じられると、私はニュースを消す。あまりに不快で、あまりに腹立たしい。それでも銃は私たちを「自由」にするのではなく全員を殺すのだと、銃信者を納得させることができない。

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グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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