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「LGBT理解増進法」の罪と共振するクィア映画『怪物』
2017年の韓国映画『お嬢さん』は、映画の構成やテーマの面で、『怪物』とパラレルの関係にある。大きく違うのはその結末だ。日本統治下の韓国を舞台にしたこの作品は、これから始まる開かれた世界への展望を持って終わる。一方『怪物』は、閉じられた世界へと向かう。ビッグ・バンに対するビッグ・クランチ。膨張してきた宇宙は、再び収縮へと至る。それが消滅するまで。
『怪物』の結末をどのように評価すべきかは難しい。開かれた世界への道筋を示す方法もあっただろう。しかし少なくとも、この映画が2023年の日本のリアルを描いているとすれば、この映画にはこの結末しかありえなかったといえるかもしれない。まったくタイムリーなことに、日本国は性的少数者に対して、マジョリティの顔色を窺って閉じた世界に籠っていれば許してやるという法律をつくったのだから。
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