コラム

日本人の金銭に対する過剰な潔癖主義が発展を妨げている(為末大×藤野英人)

2021年12月24日(金)18時25分

「こうした日本人の金銭に対する過剰な潔癖主義は、あらゆる分野で発展を妨げている」と藤野氏も同意する。

一方、アメリカのスポーツ界は収益面で最大限の結果を出し、ビジネスとして成功するためのさまざまな仕掛けがなされている。アスリートは現役時代から資産運用に積極的で、価値を見極める目が非常に優れているという。

「海外の選手が、例えばセカンドキャリアでビジネスを始める場合、『自分の価値はメッセンジャーだ』といった確固たるアイデンティティを感じる。自分はひたすらにそればかりをやり、実務はパートナーに任せている。社会にインパクトを与えるための自分の役割は何か、とても戦略的に行っている印象がある」

そう語る為末氏が現役引退後に悩んだのは、お金よりもアイデンティティの問題だった。今は「元陸上選手」の肩書が使用されることが多いが、いつか「より多くの人の才能を開花させた人(=インキュベーター)」という肩書が付いたらいいなと話す。

現在は執筆活動のほか、実業家としてビジネスの可能性を追求する為末氏。アスリートだけでなく、人生の転機を迎えた人にとって、今後も注目の存在であり続けるだろう。

※「お金のまなびば!」は、藤野氏とお金や投資、経済について学んでいくYouTubeチャンネル。今回はその動画「【藤野英人×為末大】どんな人でも成功する勝ち筋の見つけ方」から、エッセンスをほんの一部、記事にまとめた。

※「お金のまなびば!」は、藤野氏とお金や投資、経済について学んでいくYouTubeチャンネル。今回はその動画「【藤野英人×為末大】どんな人でも成功する勝ち筋の見つけ方」から、エッセンスをほんの一部、記事にまとめた。

構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

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