コラム

「宇宙で同期と待ち合わせ」が実現! その舞台「ISS」を知る7つのキーワード...日本の貢献、日本人宇宙飛行士の活躍

2025年08月08日(金)22時25分
大西卓哉さんと油井亀美也さん

大西さん(写真左)から油井さん(同右)へと引き継がれたタスキ(8月4日) JAXA|宇宙航空研究開発機構-YouTube

<2030年に退役することが決まっているISS(国際宇宙ステーション)。その歴史や役割、活躍した日本人宇宙飛行士、さらには日本の貢献などを7つのキーワードで紹介する。油井亀美也さん2度目のISSミッションには、「もう1人の同期」も大きく関与することに?>

JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士の油井亀美也さんは2日、ISS(国際宇宙ステーション)に到着し、2度目の長期滞在を開始しました。

今回は、今年3月からISS滞在しており地球への帰還間近な大西卓哉さんが油井さんを出迎え、日本人宇宙飛行士2人による「宇宙での待ち合わせ」が実現しました。


「宇宙に日本人が同時滞在している」状況に世間の注目が集まるなか、JAXAは4日に大西さん、油井さんの引継式と共同記者会見を開催。サービス精神たっぷりの2人によるタスキの受け渡しなどが行われ、大いに盛り上がりました。

軌道上記者会見で、油井さんは「おそらく、今回が最後のISS滞在になりますが、皆さんに希望を与えられるようなミッションにしたい」と語りました。有人運用から25周年を迎えたISSは、30年に退役することが発表されています。

この機会にISSの歴史と役割、日本の貢献と日本人宇宙飛行士の活躍を概観してみましょう。

◇ ◇ ◇

1. ISS誕生の経緯と歴史

ISSは地上から約400キロ上空に建設された有人実験施設だ。アメリカ、ロシア、日本、欧州、カナダの宇宙機関が参画する国際プロジェクトで、1998年に宇宙での建設が始まった。微小重力下という宇宙の特殊な環境を利用した研究や地球観測、宇宙空間からの人工衛星の放出などが行われている。

ちなみに「空と宇宙の境界」については様々な考えがあるが、高度100キロ以上とすることが多い。高度1000キロまでは(地球周回)低軌道と呼ばれ、ISSは約90分で地球を1周している。

2000年11月2日、NASA(米航空宇宙局)とロスコスモス(ロシア連邦宇宙機関)の宇宙飛行士がISSに到着すると「人類が地球だけでなく、地球外にも継続的に滞在する時代」が始まった。以来、人類の継続的な宇宙滞在は25年間続いている。

当初はアメリカとロシアの基本モジュールのみで構成されていたが、その後、「きぼう」日本実験棟など各国が開発したパーツがつなぎ合わされて大幅に拡張された。現在、居住可能な容積は約388立方メートルで、ISS全体を地面に置くとすると約108.5メートル×72.8メートルになり、ほぼサッカー場の大きさだ。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国航空大手2社、上半期は赤字継続 供給過剰と低運

ビジネス

鉱工業生産7月は2カ月ぶり低下、予想下回る 自動車

ワールド

解任の米CDC所長、ワクチン政策巡りケネディ厚生長

ビジネス

米ギャップ、5─7月は既存店売上高が予想下回る 関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    米ロ首脳会談の後、プーチンが「尻尾を振る相手」...…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story