インド企業の大型IPO計画でアジアECMが活況へ...香港も調達額が急回復
世界人工知能会議(WAIC)で見られたAI(人工知能)の看板。2023年7月、中国・上海で撮影。REUTERS/Aly Song
インド企業が、投資家の分散投資志向に乗って大型の新規株式公開(IPO)を計画しているため、来年のアジアの株式資本市場(ECM)は活況となりそうだ。ただ、テック企業株の高騰に対する警戒感が、こうした勢いを失速させるとの懸念もある。
LSEGのデータによると、IPOや公募増資、転換社債を含めたアジアのECM案件の総額は今年これまでに2670億ドル(約 41兆1118億円 )に達しており、前年比で15%増え年間ベースで2021年以来初めてプラスとなった。
中国企業の上場先として人気のある香港は地域のECM取引をけん引しており、今年の調達額は750億ドルと昨年の3倍以上で21年以来の高水準となった。
一方、インド企業は今年、IPOにより193億ドルを調達したが、過去最高だった24年の205億ドルから6%減った。このデータには、現在進んでいる電子商取引(EC)企業ミーショーによる6億400万ドルのIPOは含まれていない。
「中国の回復とインドの成長持続が今年のアジア全体の株式発行を推進する二大エンジンとなってきた」とゴールドマン・サックスの日本を除くアジアECM責任者、ジェームズ・ワン氏は述べた。「両市場は26年もアジア地域で案件の中心であり続けるだろう。現在はまだ、広範な上昇局面の初期段階だ(中略)。これはアジアの経済成長と企業収益の改善に支えられている」と語った。
エクイラス・キャピタルの予測によると、インドは26年に最大200億ドルのIPO資金調達が見込まれる。香港は300社以上が上場を申請していることが公表資料で明らかになった。
インドの通信会社リライアンス・ジオ・プラットフォームズのIPOや中国の光通信機器メーカー、中際旭創の香港重複上場のような象徴的な案件が26年の取引量を大きく押し上げる見通しだという。






