コラム

マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無料公開するのか」

2024年05月14日(火)16時00分
マーク・ザッカーバーグ REUTERS/Carlos Barria//File Photo

マーク・ザッカーバーグ REUTERS/Carlos Barria//File Photo

<オープンソースでソフトウエアを公開する理由とは? AI新聞編集長の湯川鶴章氏が解説する>

*エクサウィザーズ AI新聞から転載

2、3週間前のインタビューなんですが、その後シリコンバレーの複数のポッドキャストで話題になっていたので、詳しくメモをとることにしました。

Llama3が大きな話題になったことでMark Zukerberg氏の言動は、Sam Altman氏の言動と同じくらい注目を集めるようになってきたようです。

おもしろかった最大のポイントは、オープンソースでソフトウエアを公開する理由です。過去にもZukerberg氏がその理由に言及したことはありますが、改めて詳しく説明しています。

理由は2つ。1つは、そのほうが結局コスト削減につながるから。基幹ソフトをオープンソースで無料公開すれば、そのソフトが事実上の業界標準となり、サードパーティが関連する周辺ハードやソフトを開発するようになって、結局10%ほどのコスト削減につながったという過去の経験があったようです。

2つ目は、広告収入があるので基盤モデルを収入源にする必要がないこと。

Facebook、Instagramなど、広告をビジネスモデルとするビジネスが存在するため、AIの基盤モデルから収益を確保する必要性がないということです。基盤モデルの使用料から生計を立てなければならないOpenAIと、その点が大きく異なります。

OpenAIが、まもなくリリースされると噂されている次期モデルGPT-5で、Llama3をどれだけ引き離せることができるか。大きく引き離せないようなら、AI業界のトップランナーの地位をMetaに奪われるようになるかもしれません。

メモは妙訳であり、直訳ではありません。分かりやすさを重視して、表現をかなり変えています。より正確な表現を知りたい方は、秒数を記載していますので、YouTube動画にアクセスしていただき、該当の秒数のところの発言をご確認ください。

【動画】マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無料公開するのか」

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が

ビジネス

日経平均は反落、需給面での売りが重し 次第にもみ合

ビジネス

午後3時のドルは156円前半、年末年始の円先安観も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story