トランプは「左派のせい」と主張するが...トランプ政権誕生後、米で政治的暴力が倍増した理由
Is America Becoming More Violent?
「その警告がついに現実となった」。ペイプはそう語り、今のアメリカは「暴力的ポピュリズムの時代」を迎えており、「右派と左派の両方における政治的暴力の激化」が顕著だと指摘した。
ここ数年、アメリカでは深刻かつ派手な政治的暴力行為が頻発し、民主党と共和党双方の政治家が狙われてきた。まずは2021年1月6日にトランプ支持派による連邦議会議事堂襲撃があった。翌22年には保守派の最高裁判事ブレット・キャバノーに対する暗殺未遂と、当時の下院議長ナンシー・ペロシ(民主党)の誘拐未遂があった(サンフランシスコの自宅に男が侵入し、夫が負傷した)。
24年7月には大統領選で遊説中のトランプが銃撃され、耳にかすり傷を負った。同年12月にはニューヨークのど真ん中で医療保険大手ユナイテッドヘルスケアのCEOが射殺された(左派の一部には容疑者ルイジ・マンジョーネを英雄視する向きがある)。
まだ数カ月を残しているが、今年も格別に暴力的な年となりそうだ。メリーランド大学のテロデータベースによれば、今年上半期に国内で起きた政治的動機による暴力行為は約150件で、前年同期の倍近くとなる。
60年代並みの暴力の蔓延
4月にはペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事(民主党)の公邸に火炎瓶が投げ込まれた。放火と殺人未遂の罪で起訴された容疑者は犯行の動機として、ガザ戦争に対する知事のイスラエル寄りの姿勢を挙げている。