最新記事

犯罪捜査

父親は「連続殺人鬼」 誰も耳を貸さなかった子供の訴え...その驚愕の真相に迫る

FIELD OF NIGHTMARES?

2022年11月26日(土)19時32分
エリク・ファーケンホフ、ナビード・ジャマリ(いずれも本誌記者)

221129p40_RSA_05.jpg

2013年に死去した父ドナルドの墓の前にたたずむルーシー NAVEED JAMALI/NEWSWEEK

探知犬は、隣家の土地との境界にある柵の辺りで「複数のヒント」を見つけたという。そこにはもっと多くの遺体が埋められている可能性があると、ステュディーは語る。

隣接地を父親と共同所有しているショーン・スミス(55)は、ステュディー家の子供たちと一緒に育った。彼は一連の告発に驚いていないと言う。彼もドナルドの噂は聞いていたし、10年ほど前に不審な電話がかかってきたのだと言う。

「突然、ある男が電話してきて、あの井戸で牛か人間の骨を見たことがあるかと聞かれた」と、スミスは本誌に語った。男はドナルド・ステュディーだと名乗り、「うちの娘は空想癖があり、いつも作り話をする。私があそこに遺体を捨てたと捜査当局に話している」と語ったと言う。

スミスによると、1年以上前にFBIの捜査官が井戸のあった場所を捜索し、聞き込みにも来たという。FBIオマハ事務所はコメントを拒否したが、アイストロープによれば、同事務所の捜査官が、アイオワ州刑事犯罪部(DCI)とフリーモント郡保安官事務所と直接連絡を取り合っており、近く会合を開いて今後の方針について話し合う予定だ。

「全員が集まるまで、われわれは待機状態だ」と、アイストロープは言う。犠牲者にオマハ出身者が含まれる可能性があるため、オマハ市警も協力を申し出ているという。

スミスによると、FBIは今年8月に現場を掘り返しに来ると言っていた。実際、少し前にFBIが井戸の一部を掘り起こしたと、法執行関係筋は認める。このとき、なんらかの手掛かりが見つかったかどうかは、現時点では確認できていない(FBIからフリーモント郡保安官事務所に事前の連絡はなかったという)。

問題は捜索にかかる費用

フリーモント郡保安官事務所の年間予算は180万ドル。井戸を掘り返すには2万5000ドルかかり、完全な捜索には30万ドル以上かかると見積もっている。それでも「必要なら無理をしてでもやるつもりだ」と、アイストロープは意気込んでいる。

一方、複数の捜査機関が、ドナルドの犯罪歴や行方不明者の記録を照会して、井戸に捨てられたとステュディーが語る女性たちの特徴と一致する人物がいるか調べている。これには少なくとも2人の男性(40代と20代)も含まれる。ステュディーによると、女性たちの多くは細身で、背が低く、黒髪か、茶色がかった金髪か赤毛だったという。ただ、被害者が短期滞在者やセックスワーカーの場合、行方不明の届け出がされていない可能性もあると警察は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ平和サミット開幕、共同宣言草案でロシアの

ワールド

アングル:メダリストも導入、広がる糖尿病用血糖モニ

ビジネス

アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフ

ビジネス

NY外為市場=ユーロ/ドル、週間で2カ月ぶり大幅安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 10

    「ノーベル文学賞らしい要素」ゼロ...「短編小説の女…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 6

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中