最新記事

学校

日本の学校は、先進国中で特に無償給食の実施率が低い

2022年10月12日(水)10時45分
舞田敏彦(教育社会学者)
小学校のランチ

北欧諸国や韓国では無償給食の実施率が高い monkeybusinessimages/iStock.

<日本では、経済的に恵まれない児童が多い学校でも無償給食はほとんど実施されていない>

法律では「義務教育の無償」が定められているが、これは国立ないしは公立の義務教育の諸学校では授業料を徴収しない、という意味だ。通学費、学用品費、給食費、修学旅行費等の費用は各家庭の負担となる。

この中で負担が重いと言われるのは給食費だ。公立学校の小学生1人あたりの給食費年額は1994年度で3万8213円だったが、2018年度では4万3728円(文科省『子供の学習費調査』)。この四半世紀で5000円以上、上がっている。親年代の給与が減っていることもあり、負担が重いと捉えられるのは当然だ。

月額にすると3644円、一食あたり200円弱で廉価とも言える。だが、子どもの育ちを社会全体で支えようと、栄養のある食事を無償で提供したらどうか、という声も強い。「食」は、育ち盛りの子どもの体を作る。青森市や東京都の葛飾区のように、給食の無償化に踏み切る自治体も出てきた。

国際的に見ると、無償給食を幅広く実施している国もある。<図1>は、小学校の校長に無償給食(昼)を実施しているかどうかを尋ねた結果だ。

data221012-chart01.png

日本では94%の小学校が無償給食を実施していないが、米英では、一部の児童を対象に実施している学校が多い。費用負担が難しい家庭の児童の給食を無償にする「フリーミール」だ。韓国では全児童の給食を無償にしている学校が多く、北欧の2国では完全無償に近い。独仏は日本と同じく無償給食の学校が少ないが、昼休みに帰宅して食べる児童が多いこともあるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ検問所のガザ側掌握と発表 支援

ビジネス

アングル:テスラ、戦略転換で幹部続々解雇 マスク氏

ワールド

豪中銀、4会合連続で金利据え置き 総裁はハト派発言

ビジネス

植田日銀総裁が官邸入り、岸田首相と意見交換=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中