最新記事

難民

【写真特集】アフリカ難民たちの過酷な1食

2017年10月17日(火)18時30分
Photographs by Chris De Bode

カメルーン北部のメメで避難生活を送る難民の食事。欠けたボウルには米粒と乾燥豆がほんの少し載せられているだけだ

<アフリカ中央部のチャド湖周辺地域では、270万人以上の難民がイスラム武装組織に家を追われ、日々の最低限の食事にさえ困窮するアフリカ最大規模の人道危機が発生している>

想像できるだろうか、1日1食で生きることを。アフリカ中央部のチャド湖周辺地域に暮らす多くの難民にとって、それは紛れもない現実だ。ナイジェリア、カメルーン、ニジェール、チャドの4カ国にまたがる同地域では、アフリカ最大規模の人道危機が起きている。

ナイジェリア北部から始まったイスラム武装組織ボコ・ハラムと政府軍による紛争は国境を超えて拡大し、周辺では270万人以上が家を追われた。日々の最低限の食事にさえ事欠く人々は、700万人以上に上る。

PPFOOD-MAP.jpg

サバンナの広がるワザ国立公園を抱えるカメルーン北部はかつて、冒険好きの旅行者に人気の観光地だった。だが今やこの地は紛争と気候変動が重なり、深刻な食料危機に襲われている。

写真家クリス・デ・ボーデは英国赤十字社と共にカメルーンに渡り、破壊的な人道危機の現実をカメラに収めた。彼が注目したのは、難民たちの食事。1日に1度ありつけるかどうかの食料は、あまりに少なく、あまりに粗悪だ。

国際ニュースで報じられることもめったにない、忘れられた人々の一皿は、彼らの苦境を静かに物語っている。

Photographs by Chris de Bode-Panos


PPFOOD02.jpg

使い古されたスプーンは20歳の女性アミナの大切な持ち物。妊娠中の彼女は家を追われ、難民キャンプで暮らしている


PPFOOD03.jpg

ペースト状にしたピーナツ。天日で乾燥させ、味気ない主食の風味付けに使う。女性たちがピーナツを挽き、こねて、1年ほど保存できる状態にする。メメの市場でピーナツ1袋は25CFAフラン(約5円)で売られている


PPFOOD04.jpg

メメの露店で入手したトマト。紛争から逃れた難民たちは1日に1度の食事にありつければ幸運なほうだ


PPFOOD05.jpg

小さな魚の干物は、ゆでトウモロコシなどの主食の味付けに使われることが多い。メメの市場では7尾入った1袋が200CFAフラン(約38円)


PPFOOD06.jpg

味付けに使われた魚の骨の残り

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中