バラエティ誌でピーター・デブルージュは、この映画を「戦場と寝室を慌ただしく行き来する」と評した。皇帝の公的な生活とプライベートのシーンが入れ替わるたびに生じる「雑音」を、的確に表現している。

この映画の最大の欠点は、ナポレオンの桁外れの業績と、桁外れの失敗の政治的意味を描いていないことだ。

監督のリドリー・スコットが時系列を圧縮し、細部を心ゆくまで練り上げるのは自由だ。しかし、ナポレオンという存在の意味を掘り下げる時間を十分に取らず、物語を語る役割を放り出した。彼は革命的な改革者だったのか、無慈悲な独裁者だったのか。政治的に対立していた人々からも称賛を得たのはなぜなのか──。

この作品は、急ごしらえで編集された人生のハイライト映像のようだ。ナポレオンの栄華と没落を、現代の国際紛争と独裁政権の著しい台頭に照らし合わせながら見ると、欠点だらけの利己的な男たちが英雄となる理由を理解したいという思いが募る。

スコットが過去に見せた手腕を発揮すれば、現代の私たちがナポレオンから連なる時代に生きていることを示せたはずだ。残念ながら、今回は空振りに終わったが。

©2023 The Slate Group

NAPOLEON

『ナポレオン』

監督/リドリー・スコット

主演/ホアキン・フェニックス、バネッサ・カービー

日本公開中

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