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パリから消えたアメリカ人観光客

2010年10月1日(金)15時11分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

NYにあふれる外国人

 外国へ旅行するアメリカ人が減る一方で、アメリカに来る外国人は増えている。アメリカを訪れる外国人旅行者数は09年の第4四半期(10〜12月)に持ち直し始め、今年の第1四半期は前年比15・3%増の約691万人に上った。

 今年の夏のニューヨークはアメリカより経済成長が速いブラジルやインド、中国からの旅行者であふれた。ヨーロッパの観光客も多かった。かつては精肉工場と市場を中心とする汚い一角だったが、現在はおしゃれな空中公園「ハイライン」に姿を変えたマンハッタンのミートパッキング地区で聞こえてくるのは外国語ばかりだ。

 アメリカ人の出国が減り外国人の入国が増えることは、長年積み上がったアメリカの巨額の貿易赤字の削減に一役買っている。今年の上半期、アメリカの旅行産業は140億ドルの貿易黒字をたたき出した。前年比29%の増加だ。

 この消費傾向は全体としてみれば経済衰退の表れかもしれない。だが曇りがちなアメリカ経済にとっては、これでもいくらかは慰めになる。

[2010年9月 8日号掲載]

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