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ソフトウエアで走る車は信用できるか

I'm Sorry, Dave, I Can't Make a U-Turn

トヨタのリコール問題を機に広がる電子制御システムへの不安はナンセンスだ

2010年02月18日(木)14時31分
ファーハッド・マンジョー(オンライン雑誌「スレート」のテクノロジー担当コラムニスト)

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 リコール対象になったトヨタのプリウスをディーラーに持ち込むと、わずか30分ほどで修理が終わり、店を出ることになる。

 リコールの原因はブレーキシステムにあるのだが、整備士の仕事はほとんどない。タイヤを外すことも、ボンネットの中を調べることもなく、ブレーキの周囲を触ることさえない。プリウスの欠陥は機械的なものではなく、プログラムの不備だからだ。

 他のハイブリッドカーと同じく、プリウスは回生ブレーキシステムを採用している。ブレーキペダルを踏むと、車の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されてバッテリーに回収され、再利用される仕組みだ。今回、2010年モデルの一部で見つかったのは、ブレーキに関する電気制御プログラムの不具合。ドライバーがペダルを踏んでからブレーキが完全に反応するまでに、タイムラグが生じることがある。

 この不具合を直すのに必要なのは、プログラムの改良バージョンをダウンロードしてインストールすることだけ。まるで、マイクロソフトのウィンドウズのバグを直すかのようだ。

 不思議な話ではない。最近の車は電子制御システムで動いており、デスクトップパソコンに匹敵するほど多様なソフトを搭載しているともいわれる。ドアのカギを開けるのも、座席の位置を調節するのも、エンジンをかけるのもプログラムの役目。エアバックやスロットル・スピード制御などの安全装置も電子制御だ。

車が自分で故障を直す日が来る

 かつて整備士の聖域だった車の主要装置の大半において、コンピュータは欠かせない要素になっている。リコールされたトヨタ車をはじめ多くの車が採用する「電子スロットル制御システム」では、ドライバーの足とエンジンは物理的にはつながっていない。旧来の車と違って、ドライバーがアクセルを踏んでも、アクセルペダルはスロットルを制御する金属ケーブルに作用しない。代わりに、スロットルに電子信号を送り、より多くの燃料を注入させるのだ。

 さらに進化した「電子制御運航システム」では、ステアリングシャフトやステアリングコラムも不要になるだろう。右折したいときは、タイヤを回すよう車がモーターに信号を送る。つまりドライバーが握るハンドルは、Xボックスでカーレースゲームを楽しむときと同じ程度の機能しか果たさなくなるわけだ。

 私はソフトウエアが大好きで、コンピュータが生活の隅々に浸透することに喜びを感じる人間だが、車のハイテク化には本能的に恐怖を感じる。トヨタのリコール騒動を見ると、同じような恐怖感をいだいている人は多いようだ。

 トヨタは、複数の車種で報告されている「予期しない急加速」の原因は電子制御スロットルシステムではなく、ペダルの機械的不具合にあるとしている。だが、顧客や行政は納得していない。コンピュータの中で起きていることを伺い知ることはできないからだ。

 もっとも、そうした恐怖心は合理的ではない。どれほど恐ろしく聞こえても、車のコンピュータ化にはマイナスよりプラス面のほうが多い。

 第一に、車がコンピュータと同じペースで進化できるようになる。ソフトウエアの強みは後でアップグレードできること。以前に買った携帯でも、電話に新たな機能をダウンロードして追加し続けることで、常に「最新版」を楽しめる。同じように、車でもプログラムをアップグレードすれば、燃費や安全システムを改良し続けられる。

 問題が発生しても、従来より簡単に修正できる。車をわざわざリコールする必要は、近い将来なくなるだろうし、いずれは車が勝手に故障を直してくれる時代が来る。眠っている間に、パソコンが勝手にウイルス対策をしているように。

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