コラム

世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ

2025年04月09日(水)15時45分

ロシアとの関係改善を優先

一方、やはり制裁の対象にされていても、北朝鮮やキューバに対してはロシアと同様、関税引き上げの対象から外された。ただし、アメリカと北朝鮮、キューバの取引はほとんど確認されない。

とすると、トランプ政権がロシアとの関係改善を優先させて関税引き上げから除外したとみてほぼ間違いないだろう。


ロシアのシンクタンク、米国カナダ研究所のアレクサンドラ・フィリッペンコはドイツメディアの取材に対して、「ロシア政府は(トランプの)政治的メッセージを確かに受け取っている」と指摘した。

その一つの論拠は、トランプ関税が発表された翌4月3日、ワシントンを訪問していたロシアのキリル・ドミトリエフ特使が対米関係の改善を匂わせる発言をしたことだ。

たとえばドミトリエフはCNNのインタビューに「ロシアとアメリカの間の対話はバイデン政権のもとでは全く進まなかった」、「我々は最終合意に向けて、どのように動くかをお互いに理解していると思う」と述べたうえで、制裁の早期解除を望むとも付け加えた。

ロシアは先月、トランプ政権によるウクライナ停戦案を事実上拒否したうえ、雪解けの時期を迎えてウクライナ東部などで攻勢を強めている。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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