<アメリカはシリアに対する1970年代以来の制裁を事実上解除し、中国も暫定政権との間で投資・貿易などに関する協議を進めている>


・昨年12月に首都を陥落させ、実権を握ったシリア暫定政権は、軍の新幹部に数多くの外国人戦闘員を抜擢し、そのなかには中国出身者も含まれる。

・シリアの外国人戦闘員は2012年以降、世界各地から集まったイスラーム過激派で、アル・シャラ暫定大統領もサウジアラビア出身である。

・しかし、米中をはじめ各国はそれぞれの理由からシリア新体制との関係を優先させているため、外国人戦闘員の問題を実質的には不問に付している。

中国出身テロリストの「昇進」

米トランプ大統領は5月14日、シリアのアル・シャラ暫定大統領と会談し、両国の関係改善を協議するなかで「外国人戦闘員の追放」を求めた。

フランス、ドイツなどヨーロッパ各国首脳も同様の懸念を示している。

シリアの外国人戦闘員とは何者か。

その象徴ともいえるのが通称ザヒード、本名アブドルアジズ・ダウド・フダヴェルディだ。

ザヒードは中国西部にある新疆ウイグル自治区出身の48歳。イスラーム過激派組織トルキスタン・イスラーム党(TIP)メンバーだ。

ウイグル人のほとんどはムスリムで、中国共産党体制に対する抵抗が根強い。その分離独立運動には平和的なものが多いが、一部はアルカイダなど国際テロ組織に結びついている。

中国は平和的な抵抗運動も含めてすべての反対派をテロリストとみなし、押さえ込んできた。習近平体制のもとでは多くのウイグル人を強制収容所に隔離するなど、取り締まりがエスカレートしている。

このウイグル自治区生まれのザヒードは昨年12月、シリア軍准将に任命された。

ザヒードだけではない

ただし、シリア軍の外国人戦闘員はザヒードだけではない。

その人数は定かでなく、1500~6000人程度とみられる。シリア軍全体に占める割合は大きくないが、比較的高い階級の者が珍しくない。英BBCによると、昨年12月に発表されたシリア軍の新幹部約50人のうち、少なくとも6人はザヒードを含む外国人で、いずれも出身国でテロリストと認知される者ばかりだった。

なぜ彼らはシリア軍幹部になれたか。その曰くはシリア内戦にさかのぼる。

2012年にアフガニスタンから
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