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犯行要因を空間に求める「犯罪機会論」が防犯対策の主流になるまで
もっとも初期の被害者学は、被害原因として、被害者の特徴を重視し、犯罪原因論と似た発想だった。そのため、そうしたアプローチは、被害者バッシングにつながるとして非難を浴び、その結果、被害原因は一般的な日常生活に求められるようになった。
被害の原因が日常生活にあるなら、日常生活の送り方次第では、だれもが被害者になり得る。言い換えれば、日常的な空間の使い方こそが被害の確率を左右することになる。これは、犯行空間を対象とする犯罪機会論の前提になった。
さらに、犯罪原因論が当然の前提とした、国家と犯罪者を主役としたシステムにも批判が向けられた。システムの外に被害者が置かれていては、被害者の心の傷を癒やすこともできなければ、犯人に被害者の苦痛の大きさを気づかせ、犯人を改心させることもできない、というのがその理由だ。
被害者の権利保護と「修復的司法」
そこで、被害者と加害者が直接に話し合う場を設け、裁判官ではなく、コミュニティが話し合いをまとめるシステムが提案された。それは、被害者、加害者、そしてコミュニティという3者間の人間関係の修復を目的とするため、「修復的司法」と呼ばれた。これもまた、人と人とのつながりを重視する点で、犯罪機会論と共通の基盤に立つ。
筆者は、イギリスのテムズバレー警察を訪問し、実際に、修復的司法を観察する機会に恵まれた。写真の話し合いは、15歳の少年が青年クラブに侵入してオートバイを盗み、別の15歳の少年2人が盗品と知りながらそのオートバイを乗り回した事件についてのものだ。
修復的司法の話し合いには、ファシリテーター役の警察官のほか、3人の非行少年、その母親と祖母、被害者として青年クラブのリーダー、コミュニティにおける知人として少年を逮捕した警察官が参加した。
話し合いは1時間続き、被害者はオートバイが青年クラブに寄付された貴重なものであることを説明し、謝罪するだけでなく、責任ある市民に育ってほしいと少年に告げた。ある母親は、泣きながらショックを受けたと話した。
別の母親が被害者に謝罪したところ、被害者は、これは親ではなく子どもの責任であると応えた。少年は「すみません」を繰り返すだけだった。最終的には、オートバイを盗んだ少年には、再犯なので「警告」が与えられ、オートバイを乗り回した少年には、初犯なので「叱責」が与えられた。
このような警察官主導ではなく、ソーシャル・ワーカー主導の修復的司法では、非行少年と被害者が、贖罪と再犯防止のための契約を交わすこともある。
このように、海外では、被害者学とそれに支えられた被害者運動が、被害者の権利保護と修復的司法の導入に成功した。そしてこのことは、犯罪機会論が普及するのにも一役買った。
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