コラム

「韓国大好き」は実は少数派に過ぎない......データが語る日韓ポップカルチャー交流の限界

2023年12月19日(火)18時48分

文化はあくまで文化、外交がそれを過度に利用するな

旅行経験も同じであり、同じ世論調査で韓国を訪れたことのある日本人は23%、日本訪問経験のある韓国人も37・4%にすぎない。一見すると両国にあふれ返るかのように見える観光客も、両国全体から見れば少数派にすぎない、のである。

答えは簡単だ。少数派にすぎない人々がどれだけ日韓両国間で互いに関心を持とうとも、それだけで両国の雰囲気全体が変わるわけではない。

事実、日韓関係が大きく改善し、日本では韓国への感情がよくなった23年、韓国ではむしろ日本への好感度が30・6%から28・9%へと若干落ちている。その理由も簡単だ。今日の日韓関係改善は、韓国の尹政権が日本へ譲歩をした結果であり、日本側が韓国の人々に歓迎される措置や政策を取った結果ではないからだ。そしてその事実が示す結論もまた単純だ。つまり、両国政府の相手国への行動は、ポップカルチャーよりもはるかに多くの影響を相手国世論に与えているのである。

だからこそ、ポップカルチャーに過度に期待をせずに、堅実な外交的努力を積む必要がある。そもそもそれにKポップ、Jポップと国名の頭文字を付けて呼ぶのもあまり健全な行いとは言えないだろう。文化はあくまで文化であり、外交がそれを過度に利用し、傷つけないことこそ大事なのではないだろうか。

20240604issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシア支配下のルガンスクにミサイル攻撃

ワールド

フーシ派、紅海で米駆逐艦など攻撃 パレスチナとの連

ワールド

ロシアの首都モスクワ郊外でドローン撃墜、破片が民家

ワールド

米テキサス州など4州で21人死亡、竜巻伴う雷雨 一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 2

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 5

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 6

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 7

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 8

    台湾を威嚇する中国になぜかべったり、国民党は共産…

  • 9

    トランプ&米共和党、「捕まえて殺す」流儀への謎の執…

  • 10

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story