コラム

中国人が放射能に脅える皮肉

2011年03月18日(金)15時36分

ヨード入り食塩に殺到する中国人消費者

パニック ヨード入り食塩に殺到する中国人消費者(3月17日、甘粛省蘭州) CDIC-Reuters


 日本から放射能が到達するという恐怖が中国でパニックを引き起こしていると、ロサンゼルス・タイムズ紙は伝えている。


 中国の食料品店ではヨード入り食塩の買い占めが全国に広がり、中国政府はパニックの鎮静化に躍起になっている。日本からの放射能汚染が広がった場合、この塩で被曝を予防するためだ。

 買い占め騒動が始まったのは、携帯電話のショートメールで日本の福島第一原子力発電所から放射能を帯びた雲がやってくるという噂が広がった後のこと。

 中国人は、ヨード入り食塩をたくさん摂取すれば放射能汚染から身を守れるし、中国の海で採れた塩は既に汚染されていると誤解している。


 たとえ2000キロ離れていても、放射能が怖い気持ちはわかる。だが中国人が汚染を恐れるのには矛盾も感じる。何しろ中国では、大気汚染と水質汚染のために毎年76万人が寿命を縮め死亡するとみられている。チェルノブイリ原発事故の被曝が原因のがんで死んだ人の数は10万人といわれているので、1年でその7倍以上にもなる計算だ。

 繰り返すが、怖がるのは無理もないことだ。だが、日常的な環境汚染がこの半分も深刻に受け止められないのは残念だ。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年03月17日(木)13時27分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 18/3/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

ニュース速報

ワールド

焦点:EU離脱後の治安協力どうなる、襲撃事件で英国

ビジネス

アングル:米株動揺でも際立つ「ヘッジ疲れ」

ビジネス

アングル:トランプ氏の燃費規制見直し、メーカー側の

ワールド

オバマケア代替法案撤回、トランプ氏「次は税制改革」

MAGAZINE

特集:ミャンマー 語られざる民族浄化

2017-3・28号(3/21発売)

民主化したミャンマーで続く現代のホロコースト。虐殺され続けるロヒンギャになぜ世界は無関心なのか

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    金正男殺害の容疑者は北朝鮮の秘密警察に逮捕されていた

  • 2

    韓国人が「嫌いな国」、中国が日本を抜いて第2位に浮上

  • 3

    米ビール業界を襲うマリファナ「快進撃」

  • 4

    亡命ロシア下院議員ボロネンコフ、ウクライナで射殺

  • 5

    「スイッチ」で任天堂はよみがえるか

  • 6

    情で繋がり、情でつまずく保守の世界~森友学園以外…

  • 7

    トランプの燃費規制緩和、メーカー側の勝利か

  • 8

    ロイヤル・ヨルダン航空、米の電子機器禁止に神対応

  • 9

    韓国セウォル号、沈没から1073日目で海上へ 引き揚…

  • 10

    自衛隊の南スーダン撤退で見えた「積極的平和主義」…

  • 1

    韓国セウォル号、沈没から1073日目で海上へ 引き揚げは最終段階

  • 2

    韓国人が「嫌いな国」、中国が日本を抜いて第2位に浮上

  • 3

    金正男殺害の容疑者は北朝鮮の秘密警察に逮捕されていた

  • 4

    サウジ国王が訪問を中止したモルディブが今注目され…

  • 5

    サウジ国王来日 主婦はほんとに爆買いにしか関心な…

  • 6

    北朝鮮、ミサイル発射するも失敗 打ち上げ直後に空…

  • 7

    ロンドン襲撃テロ事件で死者4人・負傷40人 英首相「…

  • 8

    亡命ロシア下院議員ボロネンコフ、ウクライナで射殺

  • 9

    朴大統領失職後の韓国と蔓延する「誤った経済思想」

  • 10

    米ビール業界を襲うマリファナ「快進撃」

  • 1

    ウーバーはなぜシリコンバレー最悪の倒産になりかねないか

  • 2

    買い物を「わり算」で考えると貧乏になります

  • 3

    韓国セウォル号、沈没から1073日目で海上へ 引き揚げは最終段階

  • 4

    英女王「死去」の符牒は「ロンドン橋が落ちた」

  • 5

    金正男の長男ハンソル名乗る動画 身柄保全にオラン…

  • 6

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 7

    ISISが中国にテロ予告

  • 8

    人類共通の目標に大きな一歩、NASAが地球と似た惑星…

  • 9

    北朝鮮軍「処刑幹部」連行の生々しい場面

  • 10

    スカーレット・ヨハンソンが明かしたイバンカ・トラ…

Hondaアコードの魅力

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

原子力緊急事態への対応力を向上
日本再発見 「外国人から見たニッポンの不思議」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!