コラム

開発するなら今 AIツール戦国時代とその勢力図

2023年09月26日(火)11時00分
AIツール

Deemerwha studio-Shutterstock

<米著名VCアンドリーセン・ホロウィッツのランキングでChatGPTが首位、新興のcharacter.aiが2位に。Google開発のBardは?>

*エクサウィザーズ AI新聞から転載

生成AIを活用したサービスやツールが雨後の筍のように生まれてきている。米調査会社The Rundown AIのツールデータベースには既に数千のAIツールが記録されている。このデータベースに記録されていないツールの存在を考えると、今年になって登場したAIツールは全部で1万個を超えるのかもしれない。

米シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツはこのほど、こうしたAIツールの月間アクセスランキングを発表した。若者の間でチャットボットと対話することが新たな娯楽になっているなど、生成AIが引き起こす社会変化の兆しを読み取ることができる興味深いランキングになっている。

首位はやはりChatGPTだが、注目はcharacter.ai

それによると、首位は圧倒的な強さでChatGPT。まあこれは想定の範囲内。興味深いのが、AI新聞の記事「キャラクター型チャットAIという新メディア」で取り上げたcharacter.aiが2位にランクインしたこと。ローンチ後まだ数カ月だというのにChatGPTの3分の1ぐらいのアクセス数を叩き出している。

Character.aiは、有名人やアニメのキャラクターなどのチャットボットをユーザーが自由に作れるプラットフォームで、数百万人のユーザーが一日平均約2時間もチャットボット相手に遊んでいる。一人当たりの月間アクセス数は38回で、これはInstagramやFacebook、TikTokを上回っているという。ユーザーはほとんどが10代から20代の若者で、チャットボットとの会話が、若者の新しい娯楽になってきているのかもしれない。

3位はGoogleのBard。Poe、Qullbotとその後に続く。この辺りは妥当なところ。

利用者はまだ少数派

一方ビジネス系のメディアなどではAIの話題が多いものの、一般消費者のAIツールの利用頻度はまだまだ低いようだ。一般的なWebサービスと月間アクセス数で比較したところ、海外で人気のメッセージングサービスのWhatsAppが首位で、YouTube、Facebook、Instagramとそれに続く。

AIツールの代表格のChatGPTは、このリストではなんとか16位に入っている程度だ。まあほとんどのAIツールがリリースされてから1年未満なので、無理もない話かもしれない。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送中国サービスPMI、8月は53.0 15カ月ぶ

ワールド

豪GDP、第2四半期は約2年ぶり高い伸び 消費支出

ワールド

タイ与党、下院解散を要請 最大野党がライバル首相候

ビジネス

政府と連絡とりつつ為替市場の動向モニターしていきた
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 8
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story