コラム

シリコンバレーのリクルートAI研究所はチャットボットを開発していた

2016年11月07日(月)16時00分

 Microsoft創業者のPaul Allen氏の私設AI研究所Allen Institute for Artificial IntelligenceのトップOren Etzioni氏は、「研究所のトップに優秀な研究者を連れてくることは重要だけど、その企業が優秀な研究者を魅了するだけのデータを持っていなければならない。AIのトップ研究者は、ユニークなデータを大量に持っている企業に惹かれるからだ。研究所のトップに著名な研究者を持ってくることができれば、あとはその人物から学びたいと考える優秀な若手研究者がいくらでも集まってくる」と語っていた。

 そしてリクルートは、Alon Halevy氏という超大物を研究所のトップに招へいすることに成功した。同氏はGoogleのAI研究部門の花形研究者で、論文の引用数がずば抜けて多く、学会では一目置かれている存在だ。

 そんな同氏がなぜ日本企業の研究所のトップに就任したのだろうか。Halevy氏ってどんな人物なのだろうか。

【参考記事】元Googleの大物研究者がリクルートのAI研究トップに就任する意味

オープンソースで開かれた組織

 Recruit Institute of Technologyはシリコンバレーのど真ん中、Mountain View市のダウンタウンのビルの中にあった。スタンフォード大学にも近く、シリコンバレーで活動するには非常に便利な立地だ。

 ドアを開けると長身でひょろっとした感じの人物が笑顔で出迎えてくれた。Halevy氏、本人だった。自分の部屋でふんぞり返っているわけでもなく、秘書に細かな作業を任せているわけでもなかった。落ち着いた雰囲気の中に、人懐っこい暖かさがあった。

 オフィスはそれほど広くもなく、どちらかといえば質素なデザイン。窓から見えるシリコンバレーの山々と、数人の若者のリラックスした笑顔が印象的だった。

yukawa161107-1.jpg
開放感のあるオフィス(中央左がハレビー、右隣が筆者) Tsuruaki Yukawa

 現在、研究員は8人。Halevy氏がAI研究所の所長に就任したことを聞きつけて、知り合いの研究者が集まってきた。今年の2月ごろから、まずは経験豊富な研究者を採用し始めた。4月に今の場所にオフィスを構え、本格的な研究開発活動を始めた。日本のリクルート本社からは3人のインターンが常駐しているという。

「来年は20人ぐらいの所帯にし、最終的には40人ぐらいにしたい」とHalevy氏は言う。

「でも大事なのは、所帯の大きさじゃない。どのようなインパクトを世の中に提供できるか、が大事。なのでわれわれは外部と積極的につながっていくことで、世界的なAI研究所にしていきたいと考えています」と語ってくれた。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:新興国投資ラッシュに取り残されるインドネシア

ビジネス

午後3時のドルは155円前半で上昇一服、衆院選不透

ワールド

ロシア、新たな現実に備え 新START失効期限控え

ビジネス

焦点:再び円安警戒モード、高市氏「ほくほく」発言は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 8
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story