コラム

アリババ会長も中国共産党員......「赤い資本家」がIT企業に潜む

2018年12月14日(金)16時40分

民主派の棺を覆う赤い旗

66年に文化大革命が始まると、栄はいち早く「資本主義の道を歩む者」として失脚したが、その後復権。79年に鄧の指示により、中国国際信託投資公司(CITIC)を設立し、初代最高経営者になる。父親世代の人脈を利用して日本や欧米からの外資導入に尽力し、改革開放政策を支えた。当時、首都・北京で遊学していた私の目には、市内で一番の高層建築だったCITICビルはまばゆく輝く資本主義の象徴そのものだった。

その後、栄が05年に死去して葬儀が営まれたとき、鎌とハンマーのマークが入った真っ赤な共産党旗が棺桶を覆っているのには驚いた。89年6月の天安門事件で民主化を求める市民が弾圧された際も、栄は政府に市民との対話を呼び掛けるなど、民主党派の代表的存在だったからだ。だが実際は共産党員として、民主党派を指導していたわけだ。

今、IT大手のアリババはグローバル企業として世界に君臨している。これは商才というよりも、独裁と暴力で共産主義の拡張を目指す中国共産党の経済力が世界を支配しつつある事実を抜きにしては語れない。

「赤い資本家」とどう付き合っていくか──欧米も隠れ共産党員の浸透に驚いてばかりはいられない時代になった。

<本誌2018年12月18日号掲載>


※12月18日号(12月11日発売)は「間違いだらけのAI論」特集。AI信奉者が陥るソロー・パラドックスの罠とは何か。私たちは過大評価と盲信で人工知能の「爆発点」を見失っていないか。「期待」と「現実」の間にミスマッチはないか。来るべきAI格差社会を生き残るための知恵をレポートする。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政権、ホワイトハウス敷地内にコロンブス像設置

ワールド

再送イラン、湾岸のエネ施設へ報復警告 トランプ氏に

ワールド

IEA、必要なら石油備蓄追加放出へ 各国政府と協議

ワールド

カタール、自国LNG施設へのイラン報復を米側に事前
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 8
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story