
ベトナムと日本人
ベトナム人材エコシステム論 制度だけでは人は育たない
ベトナム人材エコシステム論 制度だけでは人は育たない
日本の受け入れ拡大は進むのに、現場はなぜ機能しないのか
日本はベトナム人材の受け入れを急拡大している。技能実習、特定技能、留学生、エンジニア。。。制度はフルセットで揃っているように見える。にもかかわらず、現場ではうまく機能していないという声が絶えない。理由は制度の不備ではない。もっと深い場所にある。
欠けているのは「日本社会への文化的接続点」
送り出し機関は教育を行い、日本企業は研修をし、政府は枠組みを整備する。しかし、そのどれもが「日本社会に文化的に接続するスキル」を扱っていない。言語やマナーだけでは日本の職場は理解できない。ここがエコシステムの盲点である。
日本社会の「文化OS」を理解しないと職場は回らない
日本の仕事文化は独特だ。
• 察する力が重視される
• 空気を読むことが礼儀とされる
• 報連相は「信頼の通貨」
• 上下関係は明確だが、曖昧さも許容される
これらは家庭や学校で自然と身につくが、外国人材にとっては「学習しないと分からない文化技術」だ。
現場で起きる断絶 双方の誤解が積み重なる
ベトナム人材はよくこう感じる。「何が正しいのか分からない」、「聞いたら怒られるかもしれない」。
一方、日本側はこう不満を抱く。「主体性がない」、「もっと自分で考えてほしい」。
このギャップは能力の問題ではなく、単なる「文化理解の欠落」である。
必要なのは「日本で生きる力」の教育
語学やマナーではなく、次のような文化背景を体系化してベトナム人に教える必要がある。
• 日本的コミュニケーションの構造
• 指示の裏にある「期待値」の読み方
• なぜ時間厳守が「信頼」に変わるのか
• 上司と部下の距離感の意味
私が教育センター長の送出し機関「AKURUHI JV」では、この「文化OSの翻訳」を導入した結果、企業からの評価は大きく改善し、定着率も大きく上がっている。
結論 エコシステムを回すのは「制度」ではなく「文化翻訳者」
ベトナム人材は労働力ではなく、日本社会の将来を担う重要なパートナーだ。制度を増やすだけではエコシステムは動かない。必要なのは、文化の断絶点を埋め、相互理解を設計すること。その役割を担う「文化翻訳者」こそが、これからの日本の外国人材政策の中心になるべき存在である。

- ヨシヒロミウラ
ベトナム在住。北海道出身。武蔵大学経済学部経営学科卒業。専攻はマーケティング。2017年に国際交流基金日本語パートナーズとしてハノイに派遣。ベトナムの人々と文化に魅了され現在まで在住。現在進行形のベトナム事情を執筆。日本製品輸入商社と人材紹介会社に勤務。個人ブログ: ベトナムとカンボジアと日本人 X: @ihiro_x Threads: ihiro_x






















































