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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

合理的なリスクを選択したイタリアは国を再開する


| イタリアで特に多く見られる変異株について

「かなり大きな伝染性を特徴とするウイルス変異体が現在流行している。流行の管理において、この変異株の循環には段階性があって持続し続けるので特別な注意が必要である。」とモニタリング制御室の技術者は言う。
現在イタリアでの流行例80%以上が英国変異株によるものである。
Rtインデックスが1より大きい、つまり特に感染が拡大している3つの地域:バジリカータ(1.24)、カラブリア(1.03)、シチリア(1.12)では、感染力の高い英国変異株に陽性の人が複数いるためで、曲線が上昇し続けることを意味しているという。


| 病院の状況

警戒のもう1つの要素であるのは、病院の病床の占有率だ。12の地域で30%の臨界しきい値を超えたままである。
集中治療は依然として過負荷で35%であるが、入院患者は減少している。
医療分野は40%の臨界しきい値を超えてはいけない。重症患者数が病床数を上回る状態が続くと医療崩壊を招く。
コロナではなく他の病気を抱えた人が手術を受けたりがん治療やスクリーニングを受けたりする患者や一般診療のためのスペースを確保することは不可欠である。
感染者のうち亡くなった人の割合を指す致死率に関しては、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によるとイタリアは3%で欧州一、ヨーロッパでワースト1である。世界全体の致死率は2.1%になっている。
人口100万人あたりの死者数では(4月23日現在)1963.2人で世界ワースト1位
国・地域別に見るとメキシコが9.2%と高い。日本は1.8%となっている。

※各国の検査方法が違うため、分母にあたる感染者数がまちまちになり、実際の所完全に数値とその割合が正確であるとはいえない。

| 感染者の平均年齢

イタリアでのコロナ陽性症例の平均年齢は43歳になった。
高齢者は予防接種を受けた人が多く、2回目の接種も最後の週であるので、平均年齢が大幅に下がった。最初のコロナウイルスで入院した人の平均年齢は67歳だった。
回復して退院した人も多くいるが、死亡者数は依然、高すぎるままであり、保健省の予防責任者であるジョバンニ・レッツァは「ロックダウンが解除され再開する意味をすべて自由になったと解釈してはいけない。再開によって新たな新規感染者が増加するであろうリスクは常に伴う。」と懸念を隠していない。

| 推奨事項

毎週のデータレポートには、「屋外では常にマスクを着用し、外出時に人々と接触するたびに、ソーシャルディスタンスを遵守し続けることが不可欠です。」という推奨事項が含まれている。
また、保健当局が検疫期間、自己隔離時に推奨する措置を含めて、が想起されている。

これまで通り、義務や規則がかかっているものに関しては粛々と守り、各々で責任ある行動をとってお互いが尊重されなければならないこと、そして感染拡大を皆で防ごうという共通意識と協調が必要であるのではないだろうか。
こんなにもイタリアで拡大したのは、結局それらが完全に欠けていた事が決定的な要因であると思う。
措置の緩和と再開に関する漸進性があり、常に注意が必要である。

私の在住しているミラノ北部には、娯楽施設が無い。子どもはもちろんのこと、大人も楽しめるような場所が日本に比べて圧倒的に少ない。

アミューズメントスポットもなければ、ディズニーなどの大型エンタメ施設もなければ、体験学習ができる学びの施設もなければ、公営ギャンブル競技場もなければ、海もない。
週末の休みになると大人が出かけるところは限られている。なので、ショッピングセンターかホームセンターかIKEAなどに集結している。
あくまでも個人の主観ではあるが、体感では町の人口の半分はIKEAにいるんじゃないかと思うくらい人が多く、かなりの蜜を作っている。これを再開するとなると感染者は爆発的に増えることは必至である。
開けない方が賢明であることは、皆がわかっているし理解できるだろうと思う。

夏のバカンスは伊国内を推奨されている。
国内でも危険にさらされている地域(赤とオレンジ)に向かって移動するためのパスまたは「グリーン認証」が必要。その人がコロナワクチン接種、治癒、または抗原性を実行したことを証明するか48時間前にした陰性証明。2歳未満の子供を除くすべての人に義務付けた。

2021年も地域の入浴および衛生条例が適用される。

イタリアの入浴組合(同胞)のアントニオ・カパッキオーネ会長が株主に送付した通達は、基本的に昨年のルールとなることを確認「入浴施設に関しては、再開に関する法令は地域の規定に言及している(昨年の入浴および健康条例)」

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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