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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリアの住宅問題

画像: flyingv43_iStock

ここ数か月オーストラリアの住宅問題についてよく耳にするようになりました。オーストラリアの不動産価格は年々上昇しており、若い世代の人たちが家を買うのは難しいと言われています。

最近金利がかなり上がり始めています。そのため家の価格も少しずつ下がってきています。家を買うのに少し有利になりそうですが、一方で新たな問題も引き起こしています。金利が上がったことにより、投資物件として家を買っていた家主が家賃をあげることが多くなりました。

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画像: p_saranya-iStock

ここ三か月ほどで、ブリスベンの家賃は平均3.8%上がりました。この1年でみると平均週68ドルの上昇です。年間で約32万円以上です(2022年10月23の時点で)。ブリスベンの近郊のエリアでは1年間で15%以上上がりました。それでも空室率は1%以下です。

コロナ政策の緩和が緩んだ2021年年末ごろまで、クイーンズランド州はニューサウスウェールズ州やビクトリア州に比べるとコロナの広がりがかなり抑えられていました。そのため他の州からクイーンズランド州へ引っ越してくる人も多くいました。新しい家やアパートも建築されていますが、労働者と資材の不足で建設は大幅に遅れており新規供給は限定的です。これがクイーンズランド州における賃貸受託の家賃上昇と低い空室率の原因となっています。

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画像: zstockphotos-iStock

他の大きな問題として低所得者や生活保護者用住宅の不足があります。現在クイーンズランド州だけでも5万人以上の人が政府の低所得向けの住宅への入居を待っています。クイーンズランド州政府は2025年までに6365戸の低所得者向け住宅を建設すると言っています。しかしそれによって低所得者向けの住宅問題が解決するかは微妙なところです。低所得向けの家を申し込む人の数は年々増えており、何年も待っている人もいます。政府の住宅建設も人手や資材不足の影響を受けており、プライベートマーケットとこれらの資源を取り合う形になっています。家賃を払うために食事代などを削ったりしている人も増えてきているようです。また賃貸がみつからないため、車の中や知り合いの家での生活を余儀なくされている人たちも増加していると伝えられています。

オーストラリアはコロナで止まっていた留学生や他の国から労働者の受け入れを増やそうとしています。労働者不足を解消するために海外から人を呼び込むのは必要ですが、これにより賃貸問題はさらに悪化しそうです。この問題はしばらく続きそうです。





参考
https://www.abc.net.au/news/2022-10-15/qld-real-estate-property-market-rental-prices-boom/101522446
https://www.brisbanetimes.com.au/national/queensland/a-landlords-market-brisbane-records-steepest-rent-rises-in-city-s-history-20220713-p5b19v.html
https://www.news.com.au/finance/money/costs/grim-warning-to-aussie-renters-as-record-rise-set-to-increase/news-story/e3023a81c395fbd84404bffa79dca13b
https://7news.com.au/business/housing/queensland-family-of-four-forced-to-sleep-in-car-as-homelessness-crisis-bites--c-7579818
https://www.news.com.au/national/queensland/news/rejection-after-rejection-family-forced-to-live-in-motel-amid-shocking-rental-crisis-plaguing-queensland/news-story/bb30e609fe1e5604b8fe19e50134d4be

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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