World Voice

ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

ミャンマーのエンターテインメント業界の動き、今後の予想

映画用に撮影した満月とダウンタウンの街の様子 撮影:Aung Ko Ko(MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd.)

皆さんおはようございます。
ミャンマーはヤンゴンより新町智哉がお送りしております。
日本ではWBCが盛り上がっているでしょうか?
私もこちらから日本選手に声援を送っています。
めでたく2連勝この勢いで一気に駆け上がっていってもらいたいですね。

当然ではありますが、ミャンマーは出場していないのもありWBCで盛り上がるという事も特にありません。
ミャンマーで、サッカーは人気があるのですが、野球はそもそも認知自体がそれほどありません。
実は小中学校と野球をやっていたのでミャンマーの子供たちに教えたりしたこともありました。
今後、野球もミャンマーで盛り上がると良いなと密かに思っています。

今回は今年2023年になってからのミャンマーエンタメ業界の動き、あくまで私個人の所感ではありますが、述べていきたいと思います。

その前に一つお知らせです。
クーデターから3度目の2月28日が過ぎました。
2021年2月28日は私にとって一生忘れられない日となっています。

あの時、私が観たものそして感じた事を少しでも沢山の人に知ってもらいたいと思います。
是非読んでみてください。

それでは本題です。
ミャンマーのエンターテインメント業界の動きについて。
とりわけ、この業界の私の知人たちがどのように動いているかと直接聞いている話や、実際に私がどう動けているかというところから見えるものでお話ししたいと思います。

日本からだと中々今のミャンマーのリアルというのは見えてこないとは思います。
実際、ヤンゴンは他と比べて平穏であるというような表現がされる事があります。
ですがそれは村や町を軍によって焼き払われたり、自国の軍隊に空爆されたり、武器も持っていない一般人が突然大量に殺されてしまったりというような事件が起こっていないというだけで、不穏な雰囲気は毎日確実に存在しています。

事実、ほぼ毎日ヤンゴンでも日本で言えばとても不穏な事件の匂いがするような死はほぼ毎日どこかで起こっています。
ですが、アメリカを含め、先進国がミャンマーを最大危険レベルの4に指定(退避勧告レベル)している中、日本は危険レベルを2(不要不急の渡航禁止)というレベルに留めているという特殊な状況であるという事は留意していただきたいなと思っています。
※このことはあまり取り上げられないのでしつこいようですが、私の方から伝えさせていただきます。

前置きが長くなりました。
さて、そんなミャンマーではありますが、エンターテインメント業界はどう動いているのでしょうか?
皆さんが思っている以上にミャンマーでの表現の自由は制限されています。
それは命の危険があるというレベルです。
そんなハードな状況ではありますが、様々な人が慎重な中でも挑戦を続けていると私は感じています。

私のミャンマー人の友人の中で最も厳しい状況に置かれている人で言うと今、軍から指名手配を受けながらも国内に留まり、エンタメを通しての表現活動、更には困窮する人々への支援活動も続けている人もいます。

ヤンゴンや都市部などを中心に比較的表現活動に対して抑圧や監視レベルが低いところでは(それでも一つのキッカケで一気に拘束されるリスクは常にあります)作品の制作活動などを再開している人も多いです。
現状、発表の方法にはヤンゴンであっても非常に注意は必要な状況ではありますが、そんな中でも表に裏に制作活動は増えてきたのではないかと聞き及んでいます。

私はといえば、今年の1月2日、とあるお仕事で撮影しました。
自分で予想していた以上にオープンな形で撮影もできたので驚きがありました。
もちろん、どのように撮影するかなどはミャンマー人スタッフに整えてもらい当日も私はかなり慎重にはなっていたのですが、室内だけでなく室外でも撮影する事ができ、ホッとしたのと同時に、これくらいの事でホッとしてしまえるような異常な状況であるんだなと改めて感じたのを覚えています。

気を付けないといけないのは、少しずつ状況が改善してきていると勘違いしてはいけないというところだと思っています。
楽観的(に見えてしまう)状況が続くとどうしてもそのように勘違いしてしまうのですが、比較的安全と言われているヤンゴンでさえ状況が一気に悪くなる可能性は十二分にあります。
しかし、ミャンマーの人たちは過去の経験もあるので、決して油断をする事はなく、だけどタフにこんな状況でも粛々と力強く日常生活を送ろうとしていると日々感じています。

外で撮影ができたと言っても、その道には銃を構えた軍人が乗っているトラックがふい走ってきたりする訳です。
そしてそのトラックにカメラを向けようものなら最悪収容所に送られる訳です。

このような特殊な状況にあっても撮影仕事をばっちりこなすスタッフ達を頼もしく思いつつ、私も彼らを見習ってエンターテインメントで出来る事をやっていこうと思っています。

年明けの撮影から2カ月以上が経過はしていますが、先ほども述べた通り、2か月分状況が良くなった訳ではありません、綱渡りな状況である中でも業界人たちは力強くクリエイト活動を続けているという状況です。
きっとこれからタフな現状である今のミャンマーから素晴らしい作品が沢山誕生すると私は信じています。

そんな私も昨年末辺りから考えている次回作の映画の企画をコッソリと進めているところです。
全てのミャンマークリエイターに敬意を払いつつ私も負けずに頑張っていきたいと思います。
引き続きリアルなミャンマーの今をエンタメ業界人の目で見ながらヤンゴンよりお伝えしていきたいと思います。

それではまた明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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