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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

2026年3月廃止されてしまうロワシーバスとCDGエクスプレス

未だに利用者は少なくないと思われるロワシーバスなのに・・  筆者撮影

1992年以来、33年間も運行されてきたパリ中心部とロワシー・シャルルドゴール空港を結んできたシャトルバス(通称ロワシーバス)が2026年3月から廃止されるという発表は、私にとってもなかなかショッキングなニュースでもありました。

パリを訪れる日本人観光客には、空港から直通でパリ中心部に行ける交通手段として利用したことのある人も少なくないと思います。このロワシーバスは、以前はパリ市内の数ヶ所、パリ・リヨン駅などにも発着場所があったのですが、現在では、オペラ座のすぐ近くの一か所だけになっていました。とはいえ、交通の便もよく、大きな荷物を抱えてパリ中心部まで行けるこのバス、しかも日本人に馴染みの深い(オペラ座界隈は昔から日本人街と言われる場所でもありました)場所へのアクセスがなくなることは、大変な痛手でもあります。

ロワシーバス廃止の理由

イル・ド・フランス・モビリティ(IDFM)の発表によれば、これはA1高速道路(ロワシーバスが利用している高速道路)の頻繁な交通渋滞のため、旅行者に支障をきたし、速度が低く信頼性が低いためとして、これからはメトロ14号線でサン・ドニ・プレイエル駅まで行き、同駅からの空港直通バスに乗るように提案しています。

IDFMによれば、空港までの移動時間はこれにより10分から30分短縮され、ロワシーバスの平均1時間、あるいは、1時間20分~50分から、1時間10分程度になると豪語しています。

この交通手段を取ることにより、「定時制と信頼性が向上する」としていますが、皮肉な言い方をすれば、フランス人はそんなに定時制や信頼性を求めているのか?というか、一般社会的に「時間どおり」ということが叶っているのだろうか?と言いたくなります。

さらに言わせてもらえば、確実なのは利便性は二の次になっているというのが現実問題。空港から、または空港へのアクセスの場合は、多くの人々はスーツケースなどの大荷物を抱えているわけで、この大荷物とともに、慣れない場所での乗り換えは、大変な負担であろうかと思います。

IDFMの提案によるメトロ14号線のサン・ドニ・プレイエル駅からの直行バスとなれば、パリ中心部からは、ちょっと外れています。誰しもがパリ中心部に滞在しているわけではないとはいえ、サン・ドニは、少なくとも、残念ながら、そこまで治安のよい場所でもありません。

その他の公共交通機関

さもなければ、空港へのアクセスを考える場合、多くの人々が考えるのはRER B線なのですが、これまた、なかなかトラブルの多い路線でもあるため、結局のところ、このB線を使って、空港へ行く場合、かなり時間に余裕を見て、出発することになります。この路線は治安の悪いことでも有名(とはいえ、最近は以前よりはマシになったとは思いますが・・)なうえ、パリの公共交通機関お得意のプロブレム・テクニックとやらで、突然、途中で止まってしまうことなども多く、また空港ターミナルのターミナル2まで行くはずだったのに、1までしか行かなかった・・たしかに乗ったときには、ターミナル2行きって出てたのに・・なんで??なんてこともありました。おまけにこの時の車内アナウンスはフランス語のみで、近くに乗っていたスペイン人のカップルが一体、何が起こったのかわからなかったようで、お手伝いしてあげたことがありました。

ついこの間もシャルルドゴール空港から、このB線を利用しようと思っていたところ、全線不通になっていて、途方に暮れたばかりです。パリでは、決してロワシーバスだけが、定時制を欠いているわけではないのです。

空港へのアクセスを考える場合、パリには、日本の空港(羽田空港)のように、空港から大きな駅やホテルなどを廻ってくれるリムジンバスのようなものもありません。

パリ市の方針としては、とにかく、パリ市内およびパリ近郊の車の交通量を減らしたい意向なのは、わかりますが、そこまで利用者がいないとも思われないこのロワシーバスを廃止してしまうのは、いかがなものか?「もう少し観光客を大事にしたら?」と思うのは私だけでしょうか? 

シャルルドゴール空港からのタクシー料金は空港⇔パリ右岸は56ユーロ、パリ左岸65ユーロ定額規定されています。(ということは、これ以外の料金を請求された場合はぼったくりです) 空港からの白タクやぼったくりタクシーは少なくないのも現実でもあります。

とはいえ、このロワシーバスがなくなることで、それなら荷物もあることだし、タクシー乗っちゃおうか・・となる人もけっこういるのではないかと思われ、これで交通量が本当に減るのだろうか?と思わないでもありません。

2027年3月開通予定のCDGエクスプレスの開通

私が思うに、ロワシーバスが廃止される本当の理由は、2027年3月に予定されているCDGエクスプレス開通なのではないかと思うのですが、それなら、なぜ、せめてCDGエクスプレスが開通になる2027年3月までロワシーバスの廃止を待てなかったのか?と非常に残念に思います。

CDGエクスプレスは、パリ東駅から空港までを20分で行けるようになり、午前5時から深夜0時まで15分間隔で運行される予定だというのですから、これは便利ではあるのですが、言わせてもらえば、「なぜ?またあまり治安のよくない場所・・しかも東駅に行くまでに、時間かかるでしょ・・」とぶつくさ思ったりもするわけです。

IDFMが提案する空港への(空港からの)アクセスルートに挙げられているメトロ14号線(+サン・ドニ・プレイエルからのバス)は、すでにオルリー空港まで開通したために、以前に比べるとかなり混雑するようになっていますが、にもかかわらず、空港(シャルルドゴール空港)への(からの)アクセスルートを少しでも分散させたいという思惑があるのではないか?と思われます。

もう一つ言わせてもらえば、このメトロ14号線は主に一般の乗客が利用するのがメインに作られているため、あまり広いとはいえない車両を使用しているため、大きな荷物を抱えた旅行者が利用するには、あまり適していません。(その点は、RER B線は郊外電車のため、スペース的には広く、また車両も大きな荷物を持っていても、ある程度余裕があります)

CDGエクスプレスの開通は2027年3月28日開通予定となっていますが、この開通予定というのも、あくまでも予定であり、フランスの場合、この工期が守られる保証もないというのも正直なところです。

こうして考えてみれば、フランスに欠如しているのは、お客様の立場にたって、利便性を向上させるという点で、今の時代、不便にしてどうする?とひたすらに思うわけで、あらゆるところで緊縮財政を迫られているところ、「削るところ、そこ?」と思うことが多々あるわけですが、まさにこのロワシーバスの廃止は、まさにそれ!心底、残念なことです。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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