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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

日本のテイスト入りのパリのお花見には日本の文化と歴史への畏敬の念を感じる

鳥居とちょうちんの向こうに広がる100本以上の満開の八重桜は絶景  筆者撮影

花の都パリと呼ばれるほどにパリの街には、季節ごとの花がたくさん咲いています。色とりどりの華やか花に心奪われる季節ではありますが、日本人としては、桜の季節!と桜の木を見つけると、心なしか心がときめく感じがするのは、日本人の性のような気もします。パリの街中にもところどころ、桜がないわけではありませんが、日本のような桜並木で桜吹雪が散るような景色はあんまりありません。

Le parc de Sceaux(ソー公園)の桜「hanami」は、ちょっぴり日本テイスト

そんな中、パリで有名な桜の名所に Le parc de Seaux(ソー公園)があり(といっても、正確にはパリ郊外)桜に埋め尽くされた場所を楽しむことができます。

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ソー公園は総面積が181haもある、中にはお城や博物館まである大きな公園で、正面の門にも、この時期には大々的に「hanami」の看板が堂々と掲げられています。敷地内には運河が流れ、その中心には、そびえるような噴水があり、庭園内のきれいに揃って剪定された木々はまさにヨーロッパの庭園の美しい風景で、この中に日本の「hanami」をイメージして作られたスペースがあるとはとても想像がつかない感じでもあります。公園内はかなり広いので、違う入口から入ると相当、歩くことになりますが、歩いていても、その景色に飽きることがない素晴らしい散歩が楽しめます。

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このLe parc de Seaux(ソー公園)は、この時期(4月1日~5月8日)は、日本語そのままの「hanami」と銘打って、公園の中の広い一画に100本以上の八重桜が咲き乱れている場所が解放されており、その一画の入口には、日本の「桜のお花見」についての文化と歴史を紹介した鳥居の模ったパネルがたてられていて、日本のお花見について解説されています。

なんといっても、日本とお花見のイメージを象徴しているらしい鳥居とちょうちんの先に緑の芝生の上にたくさんの八重桜が広がる光景は、日本のお花見に寄せたものでありつつも、日本とはまた一味違ったお花見を楽しむことができます。鳥居は本来は宗教的な意味付けのあるものなので、多少、抵抗を感じないでもありませんが、これを全くのアートのような位置づけで備え付けているあたりは、フランス風の日本のイメージの一つなのかもしれません。

フランス人は歴史のあるものを尊び、日本の花見・桜に特別な価値を見出してくれている

このお花見スペースの入口にたてられているパネルには、日本での「お花見」についての歴史的な由来(古くは奈良時代から始まっており、曲水の宴の話などまで、安藤広重の浮世絵なども引用して説明している)やお花見の中でも、特に桜が尊ばれているとか、その桜が古くから数々の紋章などに使用されている(百円玉などにも刻印されているなど・・)とか、この季節になると、南北に細長く位置する日本では桜の花の開花予想なるものなどまでが出ていて、地域によって時期をずらしてこの桜の開花を楽しみにしているなど、現代の日本人からは光を当てない視点から日本の「お花見」という文化を讃えてくれているようでもあり、日本人としては、嬉しいところでもあります。

また、このようなパネル、そんなに見る人もいないかと思いきや、けっこう丁寧に読んでいる人もいるのもフランス人の一面を垣間見る気もします。

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フランス人に日本が人気がある理由には、最近では、もちろん漫画やアニメ、そして都会の近代的で清潔な環境にもありますが、同時に、それにさらに価値をつけているのが、日本にはフランスとは全く異なる深い歴史と文化が根付いている美しい自然があるということが、このパリで行われている「hanami」でもわかります。この美しい桜の花と歴史を結び付けての日本の歴史的文化と自然の美しさをアピールしてくれているのは、まことに嬉しいことです。おそらく、フランス人にとって、日本の歴史的文化に基づいた部分が日本を他のアジア諸国とは一線を画した上質な文化だとと認識されているのではないかと思われます。

また、この期間中は、市内の中心地では、和太鼓のデモンストレーションや日本製品を販売するスタンドや折り紙やマンガのワークショップなど数々の日本にちなんだ催しものが開催されています。

海外から価値を見出してもらっている日本の歴史に基づいた文化や自然などは、日本が今後、さらに大切に守っていかなければならない大切な遺産であり、自然環境などは特に壊してはいけないものであると、このパリのお花見を見に来て痛感させられたのです。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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