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永田賢|インド

[速報ベース情報] 岸田首相のインド訪問

iStock

[追記] 外務省から公式発表がでましたので、追記しました。

前の記事でインドと日本の2国間関係について紹介してきましたが、今回岸田首相が日本の首相としては久しぶりにインドへ訪問されたので、速報ベースでまとめてみました。

この手の話は外務省からの公式見解を待った方が確実ではあるのですが、インド側の報道から今回のインド訪問で宣言されたことやコメントを速報ベースで紹介します。(外務省からの公式情報でたら修正かけます。)

岸田首相は外務省時代(第三次安倍内閣)にインドを訪問してモディ首相と会談したことがあり、以下の談話からもインド重視が伝わってきます。

岸田外務大臣スピーチ「インド太平洋時代のための特別なパートナーシップ」|外務省 (mofa.go.jp)

インド太平洋地域の平和と繁栄は,21世紀の世界の平和と繁栄に大きく貢献するものです。モディ首相が訪日時に述べられたように,日印関係は21世紀のアジアの方向性を決定付ける特別なパートナー関係なのです。世界で最も可能性を秘める二国間関係を有する日本とインドで,インド太平洋を繋ぐ3本の架け橋を更に強化し,この地域の潜在性を大いに開花させ,地域全体ひいては世界の平和と発展を共に牽引していこうではありませんか。

(上記談話より引用)

今回のインド訪問の目的は、モディ首相との「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の深化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて意見交換(以下外務省リンクより引用)となっています。

岸田内閣総理大臣のインド・カンボジア訪問|外務省 (mofa.go.jp)

岸田首相のインド訪問

まずは、Indian Expressへ寄稿された岸田首相のあいさつ文となります。

国際保健危機に際して「一大生産拠点」として貢献しながら、「太陽光同盟」など脱炭素化の取組をリードし、「アーダール」を始めとするデジタル社会の先進的な取組や、サプライチェーンの強靱化(きょうじんか)を含む、経済安全保障の取組を進めているインドこそ、「新しい資本主義」の実現に向けたベストパートナーです。こうした思いで、私は総理に就任して以降、できるだけ早くインドを訪問したいと思っていました。

令和4年3月19日 岸田総理によるIndian Express紙への寄稿文 | 令和4年 | 総理の指示・談話など | ニュース | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)

次いで、日印経済フォーラムでの岸田首相ご挨拶の抜粋となります。

経済をはじめとする日印関係の更なる深化に向けて力強く協力を推し進めていく。

官民による日印の新しい協力を皆さんとともに切り開いていく。

インドは私(=岸田首相)の掲げる「新しい資本主義」の重要なパートナー。

イノベーション、デジタル、気候変動、そして経済安全保障といった「新しい資本主義」の柱となるあらゆる分野においてインドは重要なパートナー

日本の高度経済成長期を支えたのは、インドの鉄鉱石。

日印の協力における潜在的な可能性はまだまだ大きいはず。

今日では、カーボンニュートラル、デジタル分野において世界に向けて新しい価値を提供することが求められている。

日本には水素、アンモニア技術がある。インドには世界に誇る若いIT人材がいる。お互いの強みを生かして、「新しい経済の価値」を作り出していきたい。

モディ首相はメイクインインディア政策で日本企業のものづくりを後押ししてくださっている。

日印特別戦略パートナーシップは「自由で開かれたインド太平洋」に向けて、一層協力を深めていけることを確信している。

PM Modi and Japanese PM Kishida address India-Japan Economic Forum - YouTube よりコメント抜粋

つづいて、モディ首相との共同記者会見となります。動画はモディ首相府のチャンネルにありましたが、英語字幕がないので、Times of Indiaの英語逐次アップデートで代用してみます。

二国間会談では、モディ首相と岸田首相は、経済協力、デジタル協力、インド北東部地域開発のための協力、技能開発など、あらゆる問題について話し合いを行ったようです。

PM Modi and Japanese PM Kishida at joint press meet - YouTube

Breaking news live: Japan to invest 5 trillion Yen over next five years in India, says PM Modi - The Times of India (indiatimes.com)

モディ首相:日印の経済連携は進展を続けています。日本はインドへの最大の投資家の一人です。ムンバイ-アーメダバードの高速鉄道回廊では、日印は「一つのチーム、一つのプロジェクト」として取り組んでいます。

岸田首相:日本は、今後5年間のインドへの投資目標を5兆円に引き上げます

モディ首相:インドと日本は共に、安全で信頼できる、予測可能で安定したエネルギー供給の重要性を理解しています。持続可能な経済成長という目標を達成し、気候変動の問題に取り組むために、それは不可欠なものです。

岸田首相:今日、世界全体が多くの騒乱で揺れていますが、インドと日本が緊密なパートナーシップを築くことは非常に重要です。私たちは自分たちの意見を述べ、ロシアのウクライナへの侵略について話をしました。私たちは、国際法に基づく平和的解決を必要としています。

モディ首相:世界はまだCovid-19とその副作用に悩まされている。世界経済の回復の過程にはまだ障害がある。地政学的な出来事も新たな課題を提示しています。

(上記リンクより抜粋、翻訳)

これらに加えて、2+2に向けた協議を進めるのと、クアッド会談でモディ首相が東京に招待された旨がわかりました。

パッと拝見していて感じたのは、巨大な額での投資、新しい分野(天候変動、カーボンニュートラル、エネルギー、安全保障)といった分野での協力深化で更なる日印関係の深化が想定できそうです。

2.(追記)外務省からの公式発表

今朝出ていたので、リンクはこちらとなります。

日印首脳会談|外務省 (mofa.go.jp)

上記で触れていなかった点は以下のような感じです。

両首脳は、東シナ海及び南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、経済的威圧について、強く反対していくことで一致しました。

両首脳は、今回署名に至ったサイバー分野に関する覚書を歓迎した上で、安全で信頼性のある通信ネットワークの構築、サプライチェーンの多元化、強靭化を含め、共に経済安全保障上の共通の課題にも取り組んでいくことで一致しました。

両首脳は、「インド北東部の持続可能な開発に向けた日印イニシアティブ」が発出されることを歓迎し、地域の連結性を高めるインド北東部開発における協力を着実に実施していくことで一致しました。

気候変動対策については、両国の着実な取組が重要であることを確認し、世界全体でのカーボンニュートラル、多様かつ現実的なエネルギー・トランジションに向け、新たに発表される「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」等を通じ、エネルギー安全保障にも資する形で、日印協力を進めていくことを確認しました。

上記リンクより引用

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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