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シリコンバレーと起業家

内藤聡|アメリカ

コロナ禍のスタートアップの舵取り

──内藤さんが卒業されたLAUNCH Acceleratorの創業者であり、UberやRobinhoodの初期投資家でもあるジェイソン・カラカニス氏からは、何か事業に関してアドバイスをもらいましたか。

内藤:ベイエリアでの自宅待機命令が出た3月当初に関していうと、ジェイソンはとにかく会社のランウェイ、事業資金を確保しようというメッセージを投資先の会社に出していました。とりわけ3月や4月はコロナウイルスの影響で、今後経済がどうなるかがまったく見通しの立たない状態だったので、とにかく今契約しているSaaSのサービスを全てリストアップして不必要なものは片っ端から解約して出費を減らせと言っていましたね。あとは資金調達ができるのであれば、資金を調達してランウェイを確保しろと。なので、LAUNCH Acceleratorに入っていた企業で、従業員を解雇した企業もあるでしょうし、資金を確保するためにブリッジで資金調達をするなど、様々な形でランウェイを確保して、不確実の環境をサバイブする方向性で動いていた時期でした。

一方で、7月あたりにはコロナによる影響や、コロナを前提とした生活の仕方に見通しが立ってきたこともあり、スタートアップの経営者が当初抱いていた不安は和らいだ印象があります。それこそコロナの影響で伸びている企業もあるので、採用を再開しているところも多いです。当初考えられていたほど、バタバタ会社が潰れていくという感じでもなく、みんな頑張ってコロナの影響があったからこそのチャンスを見つけて事業を伸ばしているように思います。

一方で、弊社Anyplaceに関していうと先述したように、以前から短期的な売上ではなく、プロダクトの作り込みと改善に集中したいと考えていたのと、ベイエリアの先輩起業家であるキヨさんからもそういったアドバイスを頂いていたので、その方向に舵を切りました。ランウェイのあるスタートアップにとっては、今回のパンデミックはプロダクトの改善に集中できる良い機会になったと思います。幸い弊社はパンデミックの前に資金調達を終わらせていたので、自分たちがコントロールできるプロダクトの改善の部分に集中するよう舵を切れたのは、長期的に見て会社にとってプラスになったはずです。

 

Profile

著者プロフィール
内藤聡

Anyplace共同創業者兼CEO。大学卒業後に渡米。サンフランシスコで、いくつかの事業に失敗後、ホテル賃貸サービスのAnyplaceをローンチ。ウーバーの初期投資家であるジェイソン・カラカニス氏から投資を受ける。ブログ『シリコンバレーからよろしく』。@sili_yoro

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