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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

不健康食品に課税!コロンビア新大統領が発表した新しい税制改革の中身

©️iStock - carlosgaw

今月7日グスタボ・ペトロ氏が大統領に就任し、コロンビアで歴史上初の左派政権が誕生しました。

「私たちは不可能と言われてきたことを可能にしました。今日からは今不可能と言われていることを更に可能にしていくために働きかけていきます。」

大統領就任演説にこう述べたペトロ大統領。コロンビアは保守的な国として知られ、これまで右派政権がひっくり返ることはまずないだろう考えられてきていました。今回の「左派の大統領誕生」というのはコロンビアの歴史に残るほど衝撃的な出来事となり、これからのペトロ大統領の動きに国内外から大きな注目が集まることは間違いないでしょう。

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©️YouTube -¡Que la paz sea posible!: Discurso de Gustavo Petro en su posesión presidencial (7 de agosto) | Red

 

早速発表された税制改革

「今日からコロンビアは不可能を可能にしていきます。私たちはすべての予測に逆らっているのです。」

ペトロ大統領は同日の就任演説でこのように話し、今までの凝り固まった政治に対して様々な改革を行っていくことを宣言しました。ペトロ大統領の支持者は将来を危惧する若者や、中流階級から下の金銭的に豊かでない層の国民に集中しており、彼らが持つ政府に対する不満にどう対処していくかがペトロ政権では重要視されているように感じます。

そんな中就任式からわずか数日後、早速新政権の財務大臣に抜擢されたホセ・アントニオ・オカンポ大臣が新しい税制改革の詳細を発表しました。

税制改革といえば2021年4月、前ドゥケ政権がコロナウイルスのパンデミック渦中に付加価値税増税を伴う税制改革を発表し、国民が大規模なデモを起こしたことは記憶に新しいと思います(当時のブログはこちら:パンデミック渦中の増税にNO!コロンビア各地で大規模デモ)。富裕層に対する税金を廃止し、中間層への課税を増やしたことに対して国民が大激怒。デモ隊と暴動鎮圧機動隊(ESMAD)が衝突し、80人以上の死者が出るほどの事態へと発展しました。

  

今回オカンポ大臣が発表した税制改革は、月収一千万ペソ(約32万円)以上の所得がある人と30億ペソ(約9600万円)の貯蓄がある富裕層が対象となり、対象者はコロンビア国民全体の2%程度になると想定されてます。この税制改革に多くの一般市民は大賛成のようですが、今回の税制改革の中には彼らのような一般市民の生活に影響を与える改革が含まれており、その内容について賛否両論の意見が飛び交っています。

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©️YouTube -Reforma tributaria de Gustavo Petro: todo lo que debe saber | El Espectador

  

不健康な食べ物に課税します

一般市民の注目を集めている税制改革とは「不健康な食べ物には課税する」という内容のもの。対象となるのは超加工食品(菓子類やチキンナゲットなど)や炭酸飲料で、これらに依存している市民やこれらを販売して生計を立てている人々から不満の声がでているのです。

先月のブログでも紹介した様に現在コロンビアでは牛乳や卵などの原材料の値上げが深刻となっており、様々な店で商品の値上げが余儀なくされています。それに課税が加わることで消費者の負担が更に増えてしまうということで、店側からは客離れを心配する声が上がっているようです。

更にペトロ大統領を支持しない層からは「コロンビア人に根付いている食生活に課税をすることで楽に国民から税金を徴収しようとしている」といった様な批判もある様ですが、ペトロ大統領はそれに対して「炭酸飲料に対する課税はお金をかき集めるためのものではありません。これは国民がたくさんの炭酸飲料を消費しない様にするためのものです。炭酸飲料などの摂取による糖尿病患者は多くの割合を占めています。」と課税の目的は国民の健康を守るためのものだと説明しました。現にコロンビアでは国民の半数以上が肥満か過体重。健康保険制度が充実していない国だからこそ、この様な予防対策は効果的だとこの課税を支持する意見も多くあります。

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©️iStock - beats3

 

他にプラス要素も

農業が盛んなコロンビアでは、果物がとても安く購入することができます。例えばマンゴーは1キロ150円程度、パイナップルは1つ50円程度です。他にも日本では見たこともない様な種類の果物が豊富に揃っているため、過剰な砂糖や添加物が使用されたお菓子やソフトドリンクをヘルシーな果物に置き換えることは全く難しいことではありません。またコロンビアでは農民の大部分が貧困層と言われており、果物をたくさん消費して国内で生産された黒糖や牛乳を使ってジュースを作ることによって、国内の農民の生活を支援することにも繋がるというメリットもあるのです。また日本の様に学校での食育などを行わないコロンビアの学校では、11時の軽食の時間に炭酸飲料とパッケージのお菓子で済ませる子供も多く、好ましくない食生活が子供の頃から習慣化されてしまっている様に感じます。今回の不健康食品への課税で国民全員が食の見直しを行うだろうとは思いませんが、一人でも多くの国民にとって何かしらプラスになる様なことに繋がればいいなと、お節介ながら思うのでした。

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©️YouTube - Así se produce la Guanábana en Colombia - Soy Campesino Oficial
 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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